『透明資産』経営のススメ【透明資産経営のススメ】「今さら、お礼を言うのも気まずい」――その思い込みは、科学的に、間違っている

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。

誰かに、心から「ありがとう」と伝えようとして、やめてしまった経験は、ないでしょうか。「今さら言うのも、気まずいかな」「相手も、私が感謝しているのは、分かっているだろう」「うまく言えなくて、変に思われたら」。——そうやって、私たちは、感謝を、飲み込んでしまう。ところが、その「やめておこう」という判断こそ、科学的に、間違っているのです。

―私たちは、感謝の効果を「過小評価」している

シカゴ大学のニコラス・エプリーと、テキサス大学のアミット・クマールが、2018年に行った研究です。彼らは、被験者に、感謝している相手へ「お礼の手紙」を書かせ、こう予想させました。「受け取った相手は、どれくらい驚き、喜び、そして——気まずく感じるだろうか」と。そのうえで、実際に手紙を受け取った人たちに、本当の気持ちを、尋ねたのです。

結果は、はっきりしていました。手紙を書いた側は、相手がどれだけ驚き、どれだけ喜ぶかを、大きく「過小評価」し、相手がどれだけ「気まずく」感じるかを、大きく「過大評価」していた。つまり、私たちは、感謝を伝えたときの、相手の喜びを、実際よりずっと小さく見積もり、気まずさを、実際よりずっと大きく見積もっている。だから、「言わないでおこう」と、間違った判断を、下してしまうのです。

さらに、面白い発見があります。書き手は、「うまく言えるか(言葉の巧みさ)」を、しきりに気にしていました。ところが、受け取った側は、言葉の巧拙など、気にしていない。ただ、その「温かい気持ち」そのものに、心を動かされていたのです。

―「気まずさ」という思い込みが、空気を貧しくしている

ここに、透明資産経営の、重要な設計原理があります。感謝は、伝えれば、伝えた側も、受け取った側も、幸福にする。それなのに、私たちは、「気まずさ」という、誤った思い込みによって、その感謝を、日々、飲み込んでいる。そして、その飲み込まれた感謝の数だけ、会社の空気は、本来より、貧しくなっているのです。

だから、まず、あなた自身の、その思い込みを、疑ってください。「今さら」「言わなくても分かる」「うまく言えない」——それらは、すべて、科学が否定した、幻です。相手は、あなたが思うよりはるかに喜び、あなたが恐れるほど、気まずくは感じない。そして、言葉が下手でも、いい。温かい気持ちさえあれば、届くのです。

だからこそ、感謝を、あなたの「気分」や「ためらい」に、任せてはいけません。飲み込みそうになる、その手前で、あえて、伝える。それを、意図した習慣として、設計するのです。想像してみてください。あなたの会社で、これまで飲み込まれてきた無数の「ありがとう」が、ためらいを越えて、口に出され、そのたびに、受け取った人が、あなたの想像を超えて、喜んでいる様子を。感謝を止めているのは、相手の気まずさでは、ありません。あなたの、思い込みなのです。

―勝田耕司