なぜ、こんなにテレビ屋は時間に追われるのか…
こんにちは、杉本です。
基本的に隔週で更新するつもりでいる私のコラム。ここ2回分、書くだけ書いて、アップロードを忘れておりました。
言い訳になりますが、ついつい忙しさに脳みそがヤラれてしまい、目先の「書き終わる」という達成感の報酬に満足してしまうのでしょう…。
先日も、スマホを開き→メールを打ち終わり→スマホを耳にあてて電話をじっと待つ…という奇怪な行動を取ってしまいました。
メールを打ったあとに取材先へ電話しようとしていたのですが、「電話番号を打つ」という動作をひとつ抜かしてしまったようです。
よほど「電話を早くせねば!」と焦っていたのでしょうね。追い込まれていますねぇ、恐ろしいです。
なんとなく「テレビ業界の人は忙しい」というイメージはありませんか?
AD(アシスタントディレクター)なんかを想像する人が多いと思いますが、ADに限らず構成作家やリサーチャー、ディレクターだって常に時間に追われています。
そりゃ「どんな仕事だって忙しいもんよ!」という声も聞こえてきそうですが、30歳台後半、40歳台半ばに差し掛かる中堅どころでも1週間のうち約半分は徹夜している業界って、なかなかないと思うんです。
「なんでこんなにいつも時間に追い回されているのか…」としょっちゅう考えるのですが、その答えのひとつが“正解や明確な数値的ゴールがない仕事”だからだと思うんです。
例えば、会計の仕事のように最後は3回検算して数値が間違っていなければOK!なんてこともないですし、営業職のように決まった商品を最低〇個売る!というような数値的目標もありません。
求められるのは「これまでに1度もやったことのない(放送歴史約70年のなかで1度も放送したことのない)、おもしろい、誰もが興味深いものを映像にする」ということだけ。
たいていの仕事の評価基準は客観的な数値や評価に基づくものですが、テレビマンの評価は「おもしろいか、おもしろくないか」で決まります。極めて感情的で主観的な単位ですよね。
そのため、構成作家なら締切ぎりぎりの時間まで、さらにおもしろいもの、さらに新しいものを考え台本に盛り込もうと常にあがきます。
ディレクターなら、放送局に映像を納品するタイムリミットぎりぎりまで、よりおもしろい場面を探しだし、つなぎ合わせの組み合わせを何万パターンとやり直す。
ちなみに1秒の映像は30枚の静止画のパラパラ漫画でできていて、ディレクターの編集はその1枚1枚の画像(ワンフレ)まで、どの画像にするかを選んで編集していきます。
だいたい12分ほどのVTRを作り上げるのに、3日程度の日数を要します。
なので強制的に頭のスイッチを切るか、締め切り時間がきて「タイムオーバー」となるかしか、なかなか仕事から逃れられることがないんです。
他局より1秒でも早く、新しい情報を。
0.1%の人にでも多く見てもらえる魅力的な情報を…。
だからいつも何でもギリギリで、何ならちょっと約束にも遅れる…。
なんだか壮大な言い訳のようになっていますが、皆さん、マスコミから「今日、取材させてもらえませんか?」と電話があっても許してあげてくださいね。