こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。
あなたの会社は、「何を(What)」売っているか、言えますか。もちろん、言えるでしょう。では、「どうやって(How)」他社と違うか、言えますか。これも、たいていは、言える。では——「なぜ(Why)」、あなたの会社は、存在するのですか。利益のため、ではなく。この問いに、よどみなく、答えられる会社は、驚くほど、少ない。そして、この「なぜ」こそが、会社の空気の、最も深く、最も強力な層なのです。今日は、人を、本当に動かし、熱い空気を生む、「WHY」について、お話しします。
―「何を」ではなく、「なぜ」を、売れ
著述家サイモン・シネックは、世界で最も偉大なリーダーや組織——アップルも、キング牧師も、ライト兄弟も——が、例外なく、同じ方法で、考え、行動し、伝えていることを、発見しました。彼は、それを「ゴールデン・サークル」と名づけます。三重の円。中心に「WHY(なぜ=信念・目的)」、その外に「HOW(どうやって=方法)」、一番外に「WHAT(何を=製品)」。
ほとんどの会社は、外側から、内側へと、伝えます。「我々は、優れた製品を作っています(What)」「他社とは、ここが違います(How)」。そして、WHYは、語られない。ところが、人を動かすリーダーは、逆です。内側から、外側へ。まず、「なぜ、我々は、これをやるのか(WHY)」という信念から、語り始める。シネックの、有名な一言が、これです。「人は、あなたが“何を”しているかで、買うのではない。あなたが“なぜ”しているかで、買うのだ」。
アップルが、コンピューター会社であるにもかかわらず、私たちが、そこから、音楽プレーヤーも、電話も、抵抗なく買えるのは、なぜか。アップルが、「我々は、現状に挑戦し、常識を覆すために、存在する」という、WHY(信念)を、発しているから。私たちは、その信念に、共感して、買っているのです。
―「なぜ」は、脳の、言葉にならない部分に、届く
なぜ、WHYは、これほど、強く、人を動かすのか。シネックは、脳の構造で、説明します(ただし、この脳科学の対応づけは、厳密な科学というより、分かりやすい比喩として語られる点には、注意が必要です)。人の脳の、最も新しい部分(新皮質)は、「WHAT」——論理と、言葉を、つかさどる。一方、脳の、より古い部分(大脳辺縁系)は、「WHY」や「HOW」——感情、信頼、忠誠、そして、意思決定を、つかさどる。けれど、この部分は、言葉を、持たない。
だから、人は、信念(WHY)に触れると、「なぜか、心が動く」「理屈ではなく、惹かれる」のに、それを、うまく言葉にできない。WHYは、論理ではなく、感情と、意思決定の、最も深い部分に、直接、届くのです。空気が、理屈ではなく、「なんとなく」感じられるのも、同じ理由。空気の最も深い層であるWHYは、言葉にならない、感情の層で、人を、動かしているのです。
―「金のために働く人」と、「血と汗を注ぐ人」
ここに、透明資産経営の、核心があります。シネックは、採用について、こんな、鋭い言葉を残しています。「もし、ただ“仕事ができる”という理由で人を雇えば、その人は、あなたの“お金”のために、働く。けれど、あなたの“信じるもの”を、共に信じる人を雇えば、その人は、血と汗と涙を流して、あなたと共に、働く」。
この違いは、決定的です。「WHAT(何をするか)」で、人を集めた会社の空気は、冷たい。社員は、給料のために、淡々と、仕事をこなす。ところが、「WHY(なぜ、やるのか)」を、共有した会社の空気は、熱い。社員は、その信念を、我が事として、血と汗を注ぐ。ライト兄弟が、資金も人脈も豊かだったライバルに、動力飛行で、先んじたのは、彼らに、「人類の未来を変える」という、WHY(信念)があり、その信念を信じる仲間が、血と汗を流して、支えたから、でした。
さあ、あなたの会社には、「WHY」が、ありますか。あなたは、社員に、「なぜ、この会社は、存在するのか」を——利益のため、ではなく——語れているでしょうか。それとも、「何を売るか」「どう効率化するか」ばかりを、語っていないでしょうか。もし、あなたの会社の空気が、どこか冷たく、社員が、給料のためだけに働いているように感じるなら——それは、空気の最も深い層であるWHYが、語られていない、空洞になっているのかもしれません。
―空気の最深層「WHY」を、設計する
だから、空気の、最も深い層——「WHY」を、設計してください。第一に、あなた自身が、「なぜ、この会社を、やっているのか」を、利益を超えた言葉で、見つけ、言語化する。あなたが、まだ事業を始める前から、心の奥にあった、あの想いを。第二に、そのWHYを、繰り返し、社員に、語る。What(何を)やHow(どう)から始めるのではなく、Why(なぜ)から、始める。第三に、採用でも、「スキルが合うか」だけでなく、「我々のWHYを、共に信じられるか」を、問う。信念を共有する人こそ、血と汗を注いでくれるのですから。
想像してみてください。あなたの会社の社員が、給料のためではなく、「なぜ、この会社が存在するのか」という信念に、心から共感し、我が事として、血と汗を注いで、働いている様子を。そして、お客様もまた、あなたが「何を」売るかではなく、「なぜ」やるのかに、惹かれて、集まってくる様子を。それは、あなたが、優れた製品や、戦略を、持っているからだけでは、ありません。あなたが、空気の最も深い層に、人の心を動かす「WHY」を、据えたから、です。人は、「何を」ではなく、「なぜ」に、血と汗を注ぎます。あなたの会社の「なぜ」は——何ですか。
―勝田耕司