こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。
「従業員満足」や「働きがい」といった言葉に、多くの経営者は、どこか、腰が引けています。「大切なのは、分かる。しかし、それは、余裕のある会社が、やることだ」「業績が先で、待遇は後だ」と。つまり、良い空気は、業績の「結果」であって、「原因」ではない、という考え方です。ところが、世界最高峰の金融経済学の研究が、この順番を、明確に、ひっくり返しました。しかも、そこには、あなたが、他社を出し抜ける、決定的な示唆が、隠されています。今日は、「空気」が、なぜ「透明」資産と呼ぶにふさわしいのか——その、本質を、お話しします。
―「働きがいのある会社」は、株式市場を、年3%以上、上回り続けた
ロンドン・ビジネス・スクールの金融経済学者、アレックス・エドマンズは、こう問いました。「従業員満足は、株主価値を、生むのか」。彼は、アメリカの「働きがいのある会社ベスト100」に選ばれた企業だけで、株式ポートフォリオを組み、その運用成績を、長期にわたって、追跡しました。
結果は、明白でした。「ベスト100」の企業は、同業他社を、年率でおよそ2.3%から3.8%も、上回る株式リターンを、28年間にわたって、叩き出し続けたのです。年に3%前後の差は、複利で積み重なれば、数十年で、途方もない差になります。働きがいという空気は、単なる「いい話」では、なく、株主の富を、現実に、生み出していました。
―これは「結果」ではない。「原因」である
ここで、鋭い経営者なら、こう反論するでしょう。「それは、逆ではないか。儲かっている会社だから、社員も満足しているだけでは?」と。エドマンズの研究が、金融の世界で「一級品」とされるのは、まさに、この反論を、封じた点にあります。
彼は、指標として、利益では、なく、「将来の株価リターン」を、用いました。ここが、天才的です。もし、社員の満足が、単に「高い利益の結果」であるなら、その利益は、すでに、現在の株価に、織り込まれているはずです。ならば、そうした会社が、その「後」に、市場を上回り続けることは、ないはず。ところが、現実には、「ベスト100」は、その後も、上回り続けた。これは、順番が、逆であることを、意味します。満足という空気が「先」にあり、それが、まだ株価に織り込まれていない「将来の価値」を、生んでいたのです。空気は、業績の結果では、なく、原因、だったのです。
―なぜ「透明」資産なのか——市場が、値付けを、間違えている
そして、この研究の、最も深い含意は、ここにあります。もし、市場が、従業員満足の価値を、正しく理解しているなら、「ベスト100」に選ばれた瞬間、その価値は株価に織り込まれ、その後の「超過リターン」は、生まれないはずです。ところが、超過リターンは、生まれ続けた。つまり——市場は、従業員満足という無形資産の価値を、正しく「値付け」できていない。エドマンズによれば、その価値が株価に反映されるまでに、4〜5年もかかる。
なぜ、市場は、見落とすのか。彼は、こう説明します。「投資家は、20世紀の企業向けに作られた、物的資産に基づく、従来の評価手法を使っている。それは、無形資産を、うまく取り込めない」。工場や在庫は、評価できる。けれど、「空気」は、貸借対照表に、載らない。だから、プロの投資家でさえ、その価値を、系統的に、過小評価してしまうのです。
ここに、「透明資産」という言葉の、本質があります。空気は、確かに、価値を生む。それでいて、市場も、決算書も、その価値を、正しく捉えられない。見えている人にしか、見えない。だからこそ、それは「透明」な資産であり——そして、だからこそ、そこに、絶好の「勝機」が、あるのです。
―市場が値付けを誤る資産にこそ、投資する
考えてみてください。誰もが、その価値を、正しく理解している資産(たとえば、土地や、有名なブランド)は、すでに高値がつき、そこから、超過利益を得るのは、難しい。ところが、市場全体が、系統的に「安く」見積もっている資産があれば——そこに投資する者だけが、超過利益を、手にできる。エドマンズが証明したのは、まさに、「空気(従業員満足)」こそ、その、割安に放置された資産だ、ということです。
さあ、あなたの会社を、見てください。あなたは、目に見える資産——設備、在庫、広告——には、迷わず投資しながら、目に見えない「空気」への投資を、「後回し」に、していないでしょうか。「業績が先だ」と。もし、そうなら、あなたは、市場が値付けを誤っている、最も割安で、最も収益性の高い資産を、みすみす、見逃しているのです。空気への投資は、「余裕ができたら」やる、慈善では、ありません。それは、他社が、そして市場さえもが、その価値に気づいていないうちに、先んじて仕込む、最も賢い「投資」なのです。
想像してみてください。あなたが、他社が見落としている「空気」という資産に、意図して、先行投資し、数年後、その価値が、じわじわと、業績に、そして企業価値に、現れてくる様子を。「働きがい」は、業績の、余った果実では、ありません。それは、業績を生む、原因であり、そして、市場が値付けを誤っている、透明な資産です。見えている人にしか、見えない。だからこそ、あなたが、今、それを設計する意味が、あるのです。あなたは、この、割安に放置された最大の資産に、投資していますか。
―勝田耕司