『透明資産』経営のススメ【透明資産経営のススメ】空気は、どうやって「利益」に変わるのか――その連鎖を、一本ずつ設計する

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。

ここまで、様々な研究が、「良い空気は、業績を生む」ことを、示してきました。けれど、経営者として、あなたが、本当に知りたいのは、その先でしょう。「良い空気は、いったい“どうやって”、利益に変わるのか」。「空気が大事」で終わる話は、精神論です。空気が、どの経路を通って、一円の利益に、結実するのか。その「連鎖」を、具体的に、示せて初めて、それは「経営」になります。今日は、空気を利益に変える、その「連鎖」の設計図を、お渡しします。

―「サービス・プロフィット・チェーン」という設計図

ハーバード・ビジネス・スクールのジェームズ・ヘスケット、アール・サッサー、レナード・シュレシンジャーの三人は、5年に及ぶ研究の末、空気が利益に変わる、その「連鎖」を、明快に、描き出しました。「サービス・プロフィット・チェーン(利益連鎖)」と呼ばれる、モデルです。それは、こう、つながっています。

まず、会社が、従業員を、大切に扱う(=内部の空気の質)。すると、従業員の「満足」が高まる。満足した従業員は、辞めずに定着し、生産性を上げる。定着し、熟練した従業員は、お客様に、高い「価値」を、提供する。高い価値を受け取ったお客様は、「満足」する。満足したお客様は、「ロイヤルティ(愛着・再来)」を持つ。そして、そのお客様のロイヤルティが——「売上成長」と「利益」を、生む。従業員への扱い(空気)から始まり、利益に至るまで、一本の、切れ目のない、鎖。これが、空気が、利益に変わる、経路の、全体像です。

―鎖の、最初の輪を、証明した「シアーズ」

「理屈は分かった。だが、本当に、そう、つながっているのか」。——それを、数字で証明したのが、アメリカの大手小売業、シアーズの、有名な取り組みです。シアーズは、800近い店舗のデータから、従業員の「意識」と、お客様の「満足」と、「業績」の関係を、モデル化しました。

そして、突き止めたのです。従業員の意識(満足)が、5ポイント改善すると、お客様の満足が、1.3ポイント改善する。そして、そのお客様満足の1.3ポイントの改善が、売上の成長を、0.5%、押し上げる、と。従業員の意識→お客様の満足→売上、という鎖が、具体的な「数字」で、つながったのです。空気の改善は、たしかに、利益に、変わる。しかも、その変換率まで、測れる。これは、「空気は大事」という精神論を、「空気は、この経路で、これだけの利益になる」という、経営の言語へと、翻訳した、画期的な事例でした。

―鎖は、一本でも切れれば、利益に届かない

ここに、透明資産経営の、重要な設計原理があります。空気が利益に変わるのが「連鎖」である、ということは——その鎖の、どこか一本の輪でも、切れていれば、利益には、届かない、ということです。

いくら、従業員が満足していても、その満足が、お客様への「高い価値の提供」に、つながっていなければ、鎖は、そこで、切れる。いくら、お客様が一度満足しても、それが「再来(ロイヤルティ)」に、つながらなければ、鎖は、切れる。だからこそ、経営者の仕事は、この鎖を、一本ずつ、点検し、設計することなのです。(誠実に申し添えれば、この連鎖は、常に自動的に成り立つ「機械」では、ありません。ある研究では、従業員満足とお客様満足が、うまく連動しない例も、報告されています。だからこそ、鎖の一本一本を、放置せず、意図して、つなぐ「設計」が、要るのです。)

―あなたの「鎖」は、どこで切れているか

さあ、あなたの会社の「利益連鎖」を、鎖の、一番はじめから、たどってみてください。

第一の輪。あなたは、従業員を、大切に扱っているか(内部の空気)。第二の輪。その結果、従業員は、満足し、定着し、熟練しているか。第三の輪。その熟練した従業員が、お客様に、他社にはない「高い価値」を、届けているか。第四の輪。そのお客様は、満足し、再び、戻ってきてくれているか。第五の輪。その再来が、売上と利益に、なっているか。——さあ、あなたの鎖は、どの輪で、切れているでしょうか。

多くの会社は、この鎖の、最後のほう(売上・利益)だけを、必死に見て、最初の輪(従業員への扱い=空気)を、放置しています。だから、利益という「結果」を、いくら睨んでも、それを生む「連鎖」が、上流で切れていることに、気づけない。利益は、鎖の、最後の輪です。それを動かしたいなら、最初の輪——空気——から、設計しなければならないのです。

だから、鎖を、一本ずつ、設計してください。従業員を、お客様に扱ってほしいように、扱う。その満足を、お客様への価値提供に、つなぐ仕組みをつくる。お客様の満足を、再来へと、つなぐ仕掛けを、設計する。そして、その連鎖の、どこが弱いかを、測り、つなぎ直す。想像してみてください。あなたの会社で、従業員を大切にする空気が、満足を生み、その満足が、お客様への価値となり、価値が、愛着となり、愛着が、利益となって——一本の切れ目のない鎖として、回り始める様子を。空気は、「大事」なのでは、ありません。空気は、この連鎖を通じて、具体的に、利益に「変わる」のです。あなたは、その連鎖を、一本ずつ、設計していますか。それとも、鎖の、最後の輪だけを、睨んでいますか。

―勝田耕司