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【透明資産経営のススメ】「ありがとう」が空気を変える──スターバックスの感謝と承認の流通設計に学ぶ、組織の温度管理術

「ありがとう」が空気を変える──スターバックスの感謝と承認の流通設計に学ぶ、組織の温度管理術

 

こんにちは、

透明資産コンサルタントの勝田耕司です。

 

「ありがとう」が会社の“空気”を決めている

「この会社、なんか居心地がいいよね」

 

そんな職場には、必ず“ありがとう”が自然と交わされています。

逆に、「なんかピリピリしている」「ちょっと息苦しい」と感じる組織には、

感謝の言葉が不足しています。

 

スターバックスは、

この「感謝」が空気に及ぼす影響を、

仕組みとして運用している数少ない企業です。

 

一杯のコーヒーの背後に、

“ありがとう”の流通があるからこそ、

あの独特の“優しい空気”が、世界中で再現されているのです。

 

空気の質は、感謝の総量で決まる

感謝とは、人間関係の「潤滑油」ではなく、

組織空間の「温度調整装置」です。

 

ありがとうが足りない職場は、冷える

 

ありがとうが行き交う職場は、あたたまる

 

心の温度が上がると、人も成果も動き出す

 

この心理的温度こそ、『透明資産』として経営が意識すべき“見えない指標”なのです。

 

スターバックスの「ありがとう」は、あえて言葉にする

多くの職場では、「察する文化」「言わなくても伝わる空気」が重んじられます。

しかしスターバックスでは、“ありがとう”をあえて口に出す文化があります。

 

たとえば──

 

レジ対応を終えたバリスタが、ドリンクを引き継ぐ仲間に「ありがとう」

 

バックヤードでも、「今日も助かったよ、ありがとう」

 

閉店後、「お疲れ様、今日もありがとう」と、目を見て伝える

 

これらは習慣でも、マニュアルでもありません。

理念と空気が融合した“文化的リズム”なのです。

 

感謝と承認が流れる仕組みづくり

スターバックスでは、「感謝」や「承認」が自然と回るよう、

いくつもの仕組みが組み込まれています。

 

  • メッセージボードの存在 

多くの店舗では、バックヤードに「ありがとうボード」があります。

 

「○○さん、ラッシュ時にサポートありがとう!」

 

「新人の○○さん、笑顔がすごく素敵でした!」

 

こうした手書きのメッセージが、空気を温めます。

 

→ 言語化された感謝が“可視化された空気”をつくる

 

② 承認のタイミングを“場”で共有

 

月1のミーティングでは、「お互いを承認する時間」が設けられています。

 

「今月、一番助けられた場面」

 

「この人の行動が素晴らしかったと思うこと」

 

これにより、承認が“個人の中だけ”で完結せず、

チーム空気の一部として流通するのです。

 

  • マネジャーが“感謝の伝道者” 

リーダーや店長の最大の役割は、「管理」ではありません。

“空気の温度”を測り、調整することです。

 

感謝のない空気には、必ず“違和感”がある

 

小さなすれ違いを拾い、丁寧に“ありがとう”を注ぐ

 

不安や緊張をほどき、緩やかな温度に整える

 

つまり、マネジャーは感情の気象予報士であり、

「ありがとう」を空気に溶かす存在なのです。

 

『透明資産』経営における“感謝設計”の重要性

『透明資産』とは、「感じの良さを再現可能な仕組みにする経営」です。

 

その中で、「感謝の空気設計」は、最も再現性が高く、効果が持続する手法です。

 

見えない力;透明資産経営での設計法

感謝の言葉;定期的に言語化・可視化する文化を設計

承認の習慣;組織行動として日常に溶け込ませる

感情の循環;温度管理者(管理職)を育てる

 

スターバックスは、これを“マニュアルではなく文化として定着”させています。

 

「ありがとう」は業績に効く

感謝の空気は、単なる精神論ではありません。

エンゲージメント・ロイヤルティ・離職率・顧客満足度──

どれもが、「空気の質」と強い相関があります。

 

Gallup社の調査でも、

感謝・承認が組織内で適切に循環している企業は、

エンゲージメントが高く、

生産性が20%近く向上するという結果が出ています。

 

つまり、「ありがとう」は、空気を変え、行動を変え、業績を変えるのです。

 

最後に──「ありがとう」は透明資産の通貨である

 

組織において、

“空気を良くする言葉”は、経営資源の一つです。

 

スターバックスのように、

感謝を空気に溶かす設計をすれば、

それはやがて“文化”として資産化されていきます。

 

あなたの会社でも、「ありがとう」を戦略的に設計してみませんか?

 

“気持ちよく働ける空気”こそ、

最も見えにくく、最も強固な競争優位なのです。

 

 

―勝田耕司

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