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COLUMNコラム

日本のフランス料理の“レジェンド”の 料理人としての生き様こそ「透明資産」

ミシュランの星付きレストランの数の多さが示すように、日本のレストランのクオリティは世界的に評価されています。

 

和食が世界文化遺産に登録されたこともあり、日本料理の素晴らしさは広く知られるようになっていますが、日本の西洋料理のレベルの高さも世界的に有名です。

 

とくに評価が高いのがフランス料理です。日本のフランス料理の先達たちは本場フランスでの修業で技術を身につけましたが、帰国後も求道者的に高い志を持って研鑽を重ねてきた料理人が多く、それが世界的な高い評価につながっています。

 

そうした“レジェンド”と呼ばれるシェフの中で、最大の尊敬を集める一人が東京・三田の「コート・ドール」のオーナーシェフ、斉須政雄氏です。

 

コート・ドールがオープンしたのはいまから34年前の1986年のこと。以来、一貫して日本のフランス料理の最前線に立ち続けてきましたが、特筆すべきはオープン以来ずっとメニューに載り続けている料理がいくつもあることです。

 

それこそ斉須シェフのスペシャリテ(看板料理)であり、この店のキラーメニューです。その中でもよく知られているのが「赤ピーマンのムース」と「エイの蒸し煮シェリー酢ソース」。

 

どちらも斉須シェフのフランスでの修業先「ランブロワジー」で提供されていた料理ですが、斉須シェフはそれをずっと自店のメニューに載せ続け、しかもその内容を常に進化させてきました。

 

赤ピーマンのムースはピーマンの加熱方法や裏漉しのしかたなどに試行錯誤を重ね、ピーマンの香りと色をこれ以上ないほど生かした逸品に。

 

エイの料理も、本来フランス料理ではほとんど使われることのない食材であるエイと、これまた高級レストランらしからぬ食材のキャベツを使って、レストランの一品として存在感ある一品に仕上げています。

 

これらの料理が長年にわたって顧客に愛されているのは、斉須シェフの料理に対する情熱ゆえです。

 

食材と真摯に向き合い、本当においしいフランス料理を提供したいという熱い思いが一つひとつの料理に溢れているからこそ、その味わいがお客さまの心を打つのです。

 

早くから斉須シェフの料理を紹介してきた柴田書店発行の雑誌『月刊専門料理』でのインタビューで、かつて斉須シェフはこのように語っています。

 

「僕は毎日、死ぬ気で料理をつくっています」

 

こうした料理人としての生き様と、それに対するお客さまの高い評価こそ、コート・ドールの「透明資産」なのです。

 

ー勝田耕司

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