『透明資産』経営のススメ【透明資産経営のススメ】社長一人の頭より、賢い会社をつくる――「意見が出る空気」は、設計できる

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。

―素人787人の集団が、専門家に勝った

1907年、イギリスの家畜品評会で、一頭の雄牛の「解体後の重さ」を当てるコンテストが開かれました。参加者は787人。農家や肉屋もいれば、まったくの素人もいる。彼らは思い思いに、予想を紙に書きました。

これを分析した科学者フランシス・ゴルトンは、素人だらけの群衆の予想など当てにならないと踏んでいました。ところが、787人の予想の「中央値」は1207ポンド。実際の重さは1198ポンド。誤差は1%足らず。しかもこの「群衆の答え」は、コンテストの優勝者よりも、そして会場の家畜の「専門家」たちよりも、正確でした。ばらばらの素人を「正しく集める」だけで、専門家を超える叡智が立ち現れたのです。今日お伝えしたいのは、この叡智が、あなたの会社の中にも眠っている、ということ。そして——それを引き出すも殺すも、あなたが設計する「空気」次第だ、ということです。

―叡智は、「独立して意見が出る空気」からしか生まれない

ここが肝心です。この「群衆の知恵」は、無条件では働きません。決定的な条件が一つあります。参加者が、互いに流されず、「独立して」判断していること。もし、隣の予想を見て寄せていったら。あるいは会場で最も声の大きい者が「1500ポンドだ」と叫び、皆がそれに引きずられていたら——叡智は、その瞬間に崩壊します。多様な独立した予想の集まりではなく、たった一人の予想を787人がこだまさせただけの、いびつな塊に成り下がる。

つまり、群衆の知恵とは、「頭のよさ」の問題ではなく、「空気」の問題なのです。一人ひとりが独立して本音を出せる空気があるか。それとも、最初の一声に全員が寄せていく空気か。この空気の違いが、専門家を超える叡智と、社長一人の予想の劣化コピーとを、分けるのです。そして——ここに透明資産経営の核心があります。この「空気」は、天から降ってくる気分ではありません。経営者が、意図的に、設計できる仕組みなのです。

―あなたは会議室で、その叡智を、自ら握りつぶしている

さあ、あなたの会社を思い浮かべてください。社員一人ひとりの頭の中に、787人分の予想に匹敵する、貴重な叡智が眠っています。それぞれが違う現場を見て、違うお客様と接し、違う角度から真実の一片を握っている。ところが、あなたは、それを集めるまさにその瞬間に、握りつぶしているかもしれない。

どうやって、か。会議で、あなたが先に、自信たっぷりに自分の意見を述べる。その瞬間、全員の独立性は消え、部屋は「社長の予想をこだまする場」に変わります。あるいは「さあ、自由に議論を」と、いきなりオープンな話し合いを始める。すると、最初に発言した声の大きい一人が、部屋全体を引きずっていく。あなたは、多様な独立した知恵を集めているつもりで、実際には、たった一つの意見の増幅装置を、作動させているのです。これは、社員の能力の問題ではありません。あなたが設計した「空気」の問題です。

では、経営者として、何を設計するか。「独立」を、仕組みで確保するのです。重要な判断の前には、議論を始める前に、まず全員に、自分の考えを一人で紙に書かせる。あるいは匿名で集める。社長は、最後に話す。そうやって、それぞれの独立した判断を、他人に汚染される前に、確保する。それから初めて、集約し、議論する。これは、性格や気合いの話ではありません。「意見が独立して出る空気」を、手順として設計する——透明資産経営そのものです。

想像してみてください。次の難しい決断で、あなたが、部屋に眠る787人分の叡智を、独立したまま取り出し、社長一人の頭を、はるかに超える答えにたどり着く様子を。あなたの会社が、決断のたびに、社長より賢くなっていく——それは、あなたが「意見が出る空気」を、意図的に設計したご褒美です。群衆の知恵は、願って湧いてはきません。「独立の空気」を設計した部屋にだけ、立ち現れる透明資産なのです。あなたの会議室は、独立した知恵が集まる場でしょうか。それとも、あなたの声が787回、反響するだけの場でしょうか。その空気を決めているのは、社員ではなく、あなたの「設計」なのです。

―勝田耕司