『透明資産』経営のススメ【透明資産経営のススメ】会社の「本当の価値観」は、あなたが“報いるもの”に書いてある

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。

―「チームプレーだ」と説く監督が、点取り屋を、ドラフトで選ぶ

バスケットボールの監督が、選手に、こう説きます。「個人技じゃない。パスを回せ。チームとして戦え」。ところが、味方にパスを出す選手は、華々しい得点記録が、残りません。そして、ドラフトで、選ばれにくい。一方、パスを出さずに自分で打つ「点取り屋」は、記録を積み上げ、契約を勝ち取る。——さて、選手たちは、実際には、どう振る舞うでしょうか。

経営学者スティーブン・カーは、1975年の古典的な論文「AをしながらBを望む愚」で、この罠が、あらゆる組織に、はびこっていることを示しました。私たちは、ある行動(B)を「望み」ながら、その正反対(A)に「報いて」いる。そして、Aが返ってくることに、首をかしげる。今日は、あなたの会社の「本当の価値観」が、壁の標語やスピーチではなく、あなたが実際に「報いているもの」に、書かれている、という話をします。

―人は、説かれたことではなく、報われることを、する

カーが挙げた例は、痛烈です。チームワークを望みながら、個人の成果に報いる。品質を望みながら、量とスピードに報いる。長期の戦略を望みながら、目先の数字に報いる。挑戦と革新を望みながら、ミスをしないことに報いる。本音を望みながら、イエスマンに報いる。そして、あなたは、説いたB、ではなく、報いたA、を、正確に、手にする。カーの箴言は、こうです。「報酬の仕組みこそが、その組織が何を大切にしているかの、本当の表明である」——口で何を言おうと、です。

ここに、あなたの文化についての考え方を、根底から組み替える、真実があります。あなたの会社の空気は、壁の価値観や、ミッション・ステートメントや、鼓舞的なスピーチで、定義されるのでは、ありません。それは、あなたが実際に「報い」、そして「罰する」もの——お金、昇進、称賛、注目、そして「誰が出世するか」——で、定義されるのです。社員は、馬鹿では、ありません。彼らは、報酬の仕組みを、完璧な明晰さで、読み取り、説かれたことではなく、報われることを、する。だから、あなたが、Bを「望む」と言いながら、報酬がAを生むなら、あなたは、Aを、手にする——毎回。そして、あなたの説教は、無益なだけでなく、むしろ、有害です。言うことと報いることのズレが、社員に、「社長の言葉は、建前だ」と、教え込むのですから。空気を設計するとは、あなたの報酬の仕組み——本当の価値観の表明——を、あなたの口と、同じことを、言わせることです。Bに報いるか、Bを望むのを、やめるか、です。

さあ、あなたの掲げる価値観を、あなたの報酬の仕組みに、突き合わせてください。あなたは「チームワーク」と言う——けれど、周りを良くする寡黙な人が報われないまま、華々しい個人成績の英雄を、昇進させ、称えていないでしょうか。「品質」と言う——けれど、スピードと量に報い、その結果、手が抜かれていないでしょうか。「長期」「正しいことを」と言う——けれど、どんな手を使ってでも今期の数字を出した者に、報いていないでしょうか。「本音を言え」「挑戦しろ」と言う——けれど、耳の痛い真実を告げた人、リスクを取った人が、うまくいかなかったときに罰せられ、安全なイエスマンが、出世していないでしょうか。あなたの報酬の仕組みがAと言い、あなたの口がBと言う、そのすべての場所で、社員は、Aを、やっている。そして、Aこそが、あなたが本当に大切にしているものだと、正しく、読み取っている。あなたの文化の問題は、報酬の設計の問題であり——それを設計したのは、あなたです。

だから、報酬を、望む行動に、揃えてください。本当に望む価値観(B)の一つひとつについて、冷たく、問う。「私の報酬の仕組みは、実際には、どんな行動を生んでいるか」と。そして、それが正反対(A)を生んでいる場所では、人ではなく、報酬を、直す。個人の点取り屋だけでなく、チームを作る人に、報い、昇進させる。量だけでなく、品質に、報いる。今期の数字が痛んでも、長期の正しい判断に、報いる。耳の痛い真実を告げた人に——全員の前で——報いる。報酬の仕組みに、あなたが大切だと主張するものを、大声で、一貫して、言わせるのです。想像してみてください。社員の行動が、ついに、あなたの価値観と、一致する文化を。あなたが、AをしながらBを望むのを、やめ、報酬を、本当のメッセージに、したから、です。

社員は、あなたが会社の価値観だと「言うこと」を、聞いてはいません。彼らは、あなたの会社が「報いること」を、見ている——そして、それが、正しいのです。報酬の仕組みは、あなたの文化の、本当の表明であり、どんなスピーチも、それを、覆せない。だから、AをしながらBを望むのを、やめてください。あなたが実際に何に報いているかを見れば、あなたが実際に何を手にするかが、見える。違う空気が、欲しいですか。ならば、それを本当に定義する、たった一つの文書を、変えるのです——壁の価値観ではなく、あなたが報いる、行動を。

―勝田耕司