こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。
―専門家が練った施策の、三分の二は、外れていた
マイクロソフトとその検索エンジンBingでは、数千もの施策を、実際のユーザーで比較検証(A/Bテスト)してきました。その結果は、当事者たち自身を、打ちのめすものでした。よく練られ、うまく実行された施策のうち、狙った指標を実際に改善できたのは——およそ「三分の一」だけ。Bingでは、わずか15%。この分野の第一人者ロニー・コハヴィは、こう述懐します。「我々のアイデアの半分以上が、狙った指標を、動かせなかった。実に、謙虚にさせられる発見だった」と。
さらに衝撃的なのは、これです。Bingの歴史上、最も収益を生んだ施策(1億ドル超の価値)は——専門家たちに「低評価」をつけられ、何か月も、お蔵入りにされていた。私たちは、何が効くかを見抜くのが、絶望的に下手なのです。今日は、あなたの会社の意思決定が、「社長の意見」で下されているなら、その大半が、外れているかもしれない、という話をします。
―「最も偉い人の意見(HiPPO)」は、たいてい、当てにならない
コハヴィは、ある言葉を広めました。「HiPPO」——Highest Paid Person’s Opinion、つまり「最も給料の高い人の意見」。多くの会社では、意思決定は、このHiPPO——社長の勘——で、下されます。「経験がある自分の判断は、確かだ」と。ところが、数百万件の実験データが告げるのは、正反対でした。専門家でさえ、何が効くかについて、たいてい間違えている(ウェブ解析の専門家アヴィナッシュ・カウシックは「お客様が何を求めているか、我々は8割方、間違えている」と言います)。そして、最良のアイデアは、しばしば、専門家が握りつぶしたものの中に、ある。だから、施策は「意見」ではなく、「検証」で決めよ。「HiPPOではなく、お客様の声を聞け」。そして、失敗した実験は、失敗ではない。安価な学びであり、まずいアイデアを世に出す前に、救ってくれるのです。(正直に申せば、これはウェブ・消費者向けの大規模データですが、「自分はたいてい間違っている、だから試せ」という謙虚さは、あらゆる会社に通じます。小さな会社でも、安く、試せるのです。)
ここに、透明資産経営の設計原理があります。多くの会社の初期設定の空気は、「HiPPO」——最も偉い人の意見が、勝つ。あなたの意見が。そして、あなたは、自分の経験が、判断を確かにする、と信じている。けれど、無数の実験の厳しいデータは、こう言う。専門家でさえ、何が効くかを、たいてい外し、最良のアイデアは、しばしば、専門家が殺したものだ、と。だから、意見で——最も上席か、最も自信のある者によって——決められる空気は、大半の間違った施策を世に出し、最良のアイデアを殺す空気なのです。空気を設計するとは、「誰がそう思うか」を、「何を試したか」に、置き換えること——確信に満ちた意見ではなく、安価な実験を、意思決定のやり方にすること。そして、失敗した実験を、非難ではなく、学びの勲章にすること——人が、意見を守る代わりに、あえて試すように。「試そう」の空気か、「社長が決める」の空気か、なのです。
さあ、あなたの会社で、意思決定が、どう下されているかを、見てください。社長の意見(あなたの)が、たいてい勝っていないでしょうか——あなたが、最も上席で、最も自信があり、最も給料が高いから。社員は、あなたに、検証や証拠ではなく、意見を持ってきて、議論していないでしょうか。だとしたら、あなたは、HiPPOの空気を、動かしている——そして、データは告げます。あなたは、大半の間違った判断を世に出し、最良のアイデアを殺している、と。あなたの勘は(誰の勘もそうであるように)、たいてい、外れるのですから。そして、気づいてください。HiPPOの空気では、誰も、試さない。彼らは、ロビー活動をする。勝つ道は、現実を試すことではなく、社長を説得することだからです。あなたは、意見が、たいてい間違っている世界で、意見で決める会社を、設計してしまったのです。
だから、「実験する空気」を、設計してください。意見で決める前に、問う。「まず、安く試せないか」——小さな試行、限定的な展開、A/Bテスト、一週間のお試し。序列ではなく、現実に、決めさせる。実験を、安く、速くする(試す費用を、下げる)。そして何より、失敗した実験を、非難ではなく、学びとして扱う——意外な失敗を、成功と同じくらい称え、人が、意見を守る代わりに、あえて試すように。あなた自身の意見(HiPPOの意見)を、証拠より、軽く握る。想像してみてください。あなたの会社が、誰の声が大きいかではなく、何が効くかで、決めていく様子を。より少ない間違った施策を世に出し、ついに、あなたの勘が殺していたはずの、偉大なアイデアを、捕まえる様子を。
あなたの意見は——どれほど経験を積んでいても——何が効くかについて、あなたが信じたいより、頻繁に、外れます。どの専門家の意見も、そうです。勝つ会社は、最も偉い人の意見で決めない。彼らは、試した結果で、決める。だから、「試そう」が「思う」に勝ち、失敗した実験が、非難ではなく学びとなる空気を、設計してください。HiPPOより、検証を、信じるのです——たとえ、そのHiPPOが、あなた自身であっても。
―勝田耕司