『透明資産』経営のススメ【透明資産経営のススメ】「信頼される」とは、何か――能力・善意・誠実、どれか一つでも欠ければ、信頼は崩れる

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。

「信頼が、大事だ」。——経営において、これほど、誰もが口にし、それでいて、これほど、曖昧なまま、放置されている言葉も、ありません。信頼は、大切だ、と分かっている。けれど、では、「信頼される」とは、具体的に、何をすることなのか。どうすれば、信頼という空気は、築けるのか。それを、明確に、言える経営者は、驚くほど、少ない。ところが、信頼研究の、金字塔とされる、ある理論が、この「信頼される」を、三つの、具体的な要素に、分解してくれています。今日は、信頼という空気の、設計図について、お話しします。

―信頼される資格は、「三つの要素」でできている

1995年、経営学者ロジャー・メイヤーらは、「組織における信頼の、統合モデル」という、画期的な論文を発表しました。彼らは、まず、「信頼」と「信頼される資格(トラストワージネス)」を、分けました。信頼とは、「相手に対して、自分の身を、無防備に、委ねられる状態」。そして、その信頼を、生み出す、相手側の「資格」を、三つの要素に、分解したのです。

第一に、「能力(アビリティ)」。その仕事を、きちんと、やり遂げられる、スキルと、専門性。第二に、「善意(ベネボレンス)」。その人が、自分の利益を超えて、「あなたのために、良かれと、本当に思ってくれている」と、感じられること。第三に、「誠実(インテグリティ)」。筋の通った、原則に基づいて行動し、言うことと、やることが、一致していること。——この三つが、そろって初めて、人は、相手を、信頼するのです。

―どれか一つでも欠ければ、信頼は、崩れる

ここが、決定的です。この三つは、どれか一つでも、欠けると、信頼は、成立しません。考えてみてください。

「能力は高いが、善意がない」人——つまり、仕事はできるが、自分のことしか考えず、あなたの利益など、気にかけない人を、あなたは、信頼して、身を委ねられるでしょうか。できません。有能であればあるほど、むしろ、警戒するかもしれない。「善意はあるが、能力がない」人——つまり、あなたのことを、本当に思ってくれているが、仕事が、まるでできない人に、あなたは、重要な仕事を、任せられるでしょうか。難しいでしょう。そして、「能力も、善意もあるが、誠実さがない」人——有能で、親切だが、言うことが、コロコロ変わり、昨日と今日で、言っていることが違う人を、あなたは、信頼できるでしょうか。できません。信頼とは、能力と、善意と、誠実の、掛け算なのです。どれか一つが、ゼロなら、全体が、ゼロになる。

そして、メイヤーらは、時間の流れについても、鋭い指摘をしています。関係の、初期——まだ、相手のことを、よく知らない段階では、「誠実さ」が、最も、効く。言行一致か、筋が通っているか、で、人は、まず、判断する。そして、時間をかけて、付き合う中で、「善意」——この人は、本当に、自分のことを、思ってくれているか、が、効いてくる。信頼は、こうして、三つの要素を、積み重ねながら、育っていくのです。

―あなたは、「三つ」のどこが、欠けているか

ここに、透明資産経営の、実践的な視点があります。信頼という空気は、漠然と「信頼を、築こう」と、願うだけでは、生まれません。それは、能力・善意・誠実という、三つの要素を、意図して、積み上げることで、設計できる。そして、この三つは、「診断」にも、使えます。もし、あなたが、社員やお客様から、十分に信頼されていないと感じるなら——問うてください。欠けているのは、どの要素か、と。

あなたは、経営者として、十分な「能力」を、示しているでしょうか(頼りになるか)。あなたは、社員やお客様の利益を、本当に、気にかけているという「善意」を、伝えられているでしょうか(自分の利益だけでは、ないか)。そして、あなたは、言うことと、やることが、一致している「誠実さ」を、保てているでしょうか(朝令暮改になっていないか、約束を守っているか)。あなたの信頼の空気に、ひびが入っているなら、この三つの、どこかに、原因が、あるはずです。

―「三つの要素」を、積み上げて、設計する

だから、信頼という空気を、三つの要素で、設計してください。第一に、「能力」。頼りになる、という実績を、積む。約束したことを、やり遂げる。第二に、「善意」。社員やお客様の利益を、自分の利益より先に、考え、それを、言葉と行動で、伝える。「私は、あなたのために、ここにいる」と。第三に、そして、とりわけ初期に効く「誠実」。言ったことは、守る。筋を、通す。昨日と今日で、言うことを、変えない。約束を、違えない。この三つを、日々、積み上げることが、信頼という、最も価値ある透明資産を、築くのです。

想像してみてください。あなたが、能力・善意・誠実の、三つを、意図して、積み上げたとき——社員が、お客様が、安心して、あなたに、身を委ねられる、深い信頼の空気が、育っていく様子を。信頼は、「大事だ」と、唱えるだけでは、生まれません。それは、能力と、善意と、誠実の、三つの掛け算。あなたは、その三つを、すべて、積み上げていますか。それとも、どれか一つが、欠けていませんか。

―勝田耕司