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COLUMNコラム

「透明資産」を知ることから始める

 

透明資産について、具体的なシーンを通してイメージを固めてみましょう。たとえば私自身の経験としては、コンサルティングをさせていただた店舗のうち、なぜか業績が良いお店や企業と、そうでないお店や企業がありました。しかもその理由がはっきりしないのです。

 

飲食店であれば、通常は「料理が美味しい」「価格が安い」「立地が優れている」などの点が評価の対象となります。加えて近年では、「適切な情報発信ができている」「お客さまとの関係性を構築している」などの点も重要となるでしょう。

 

しかし、そのような評価ポイントを押さえているだけで、必ずしもお店が繁盛するわけではありません。それらの基本をふまえつつ、自分たちならではの透明資産を意識し、理解しながら活用していくことが求められます。

 

たとえば、従業員の細かな対応や笑顔、話し方、立ち居振る舞いなどに加えて、店内の照明や光の入れ方、空調、さらには営業時間なども含めて、透明資産を形成する要素になります。それらを総称すると、「空気」と表現できるわけです。

 

店舗や企業の中に入ったとき、あるいはそこにいる人に接したとき、独特の空気を感じたことがある人は多いかと思います。その空気こそ、目に見えない透明資産の片鱗です。それは、必ずしも特定の何かによって形成されているのではありません。

 

どれほど商品やサービスが優れていたとしても、お客さまから好まれる空気を生み出せるとは限りません。やはり、そこで働く人々が生み出す透明資産が望ましいものでないと、お客さまから評価されることはありません。

 

先ほどの例で言えば、透明資産を具体化するための施策として、細かな対応や笑顔、話し方、立ち居振る舞い、店内の照明や光の入れ方、空調、営業時間など、すべてが好ましい空気の醸成に貢献している必要があります。そして、その主体は人です。

 

スタッフが生き生きと仕事をしている状態というのは、すべてのスタッフがその店舗や企業ならではの透明資産を体現するべく行動できているということです。ただ元気に動き回っているだけでなく、さまざまな行動が透明資産の形成につながっていることが大切です。

 

たとえば、いつも来てくれているお得意さんに対して「こんにちは!」などとあいさつすることは、必ずしもマニュアル的な行動ではありません。むしろ、「お客さまを大切にする」という気持ちを具体化させた、積極的な行為と言えるのではないでしょうか。

 

このような行動が自然に出る状態こそ「スタッフが生き生きと働いている」と言えます。上からの命令で無理にやらせるのではなく、スタッフが自ら行動できてこそ、透明資産を活用する組織になっていると評価できます。

 

そのような組織になるためには、まず、自分たちの透明資産を知ることからはじめなければなりません。経営者が理解していなければ、現場が理解できることはありません。経営者、幹部社員、管理職、あるいは現場にまで理解を浸透させましょう。

 

繁盛店の多くは、自ら考えて動くスタッフであふれています。そして彼らの行動は、透明資産をふまえたものとなっています。だからこそ、お客さまにもそれが伝わり、心地よい空間や空気感が伝わるようになっているのです。

 

反対に、給料だけでスタッフを動かしている店舗は、場の雰囲気が悪く、お客さまからも選ばれません。透明資産どころか、基本的なサービス精神も養われない可能性があります。そうならないよう、透明資産を知ることからはじめてみましょう。

 

*引用;『新戦略 今日から逆風に打ち勝つ会社に変える「透明資産」実践ビジネス活用術』(勝田耕司著・秀和システム刊)

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