こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。
「どうすれば、もっと、売れるか」。経営者は、商品を、良くしようとします。味を、改良する。機能を、増やす。価格を、下げる。ところが——それでも、売上が、伸びないことが、ある。なぜでしょうか。実は、お客様は、あなたの「商品」そのものを、買っているのでは、ありません。お客様は、自分の人生の、ある場面で、片づけたい「用事」があり、それを片づけるために、あなたの商品を、“雇って”いるのです。この視点の、わずかな転換が、経営を、大きく変えます。今日は、お客様が、本当は、何を求めているのか、という話をします。
―なぜ、ミルクシェイクは、朝、売れたのか
ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセンが、紹介する、有名な話があります。あるファストフードチェーンが、「ミルクシェイクを、もっと売りたい」と、考えました。そこで、お客様に、「もっと、濃いほうがいいか」「味の種類を、増やすべきか」と、尋ね、改良を、重ねた。ところが、売上は、一向に、伸びない。
そこで、クリステンセンの チームは、まったく違う問いを、立てました。「お客様は、“どんな用事”を片づけるために、ミルクシェイクを、“雇って”いるのか」。18時間、店で、観察を続けると、驚くべきことが、分かりました。ミルクシェイクの多くが、「早朝」に、「一人で通勤する人」に、「持ち帰りで」売れていた。彼らが、ミルクシェイクに、片づけてほしかった「用事」は——退屈で、長い、車通勤の時間を、紛らわせること。そして、昼まで、空腹を、しのぐこと。片手で、ストローで、飲めること。彼らのライバルは、他のミルクシェイクでは、なかった。バナナ(すぐ食べ終わる)、ベーグル(ぱさつく、両手が要る)、ドーナツ(ぼろぼろこぼれる)——これらを「雇う」か、濃いミルクシェイクを「雇う」か、だったのです。この「用事」が、分かって初めて、本当の改良が、できる。味を少し変えるより、長持ちし、片手で飲める濃さにするほうが、ずっと、大事だったのです。
―お客様は、「進歩」を、買っている
クリステンセンは、これを「ジョブ理論(片づけるべき用事)」と、名づけました。彼の核心的な一言が、これです。「お客様は、商品を、買っているのでは、ない。ある状況で、“進歩”を、成し遂げるために、商品を“雇って”いる」。そして、より良く、その用事を片づけてくれるものが、現れれば、お客様は、今の商品を、“解雇”して、乗り換える。
さらに、重要なのが——お客様が片づけたい「用事」には、三つの側面がある、ということです。「機能的」な側面(空腹を満たす)だけでなく、「感情的」な側面(ほっとしたい、満たされたい)、そして「社会的」な側面(良い親だと感じたい、仲間と過ごしたい)。実際、同じミルクシェイクでも、夕方には、親が、子どもに、「いい親」として、ちょっとした ご褒美を、与えるために、雇われていた。同じ商品でも、雇われる「用事」は、複数、あるのです。
―用事の多くは、「空気感」に、宿っている
ここに、透明資産経営の、核心があります。お客様が、あなたのお店を「雇う」用事の、とりわけ「感情的・社会的」な側面——その多くは、商品そのものでは、なく、お店の「空気感」に、宿っています。たとえば、ラーメン店なら、お客様は、「空腹を満たす」という機能的な用事だけで、来ているのでは、ない。「仕事帰りに、ほっと、ひと息つきたい」「活力を、取り戻したい」「一人で、気兼ねなく、過ごしたい」「いつもの、あの温かい雰囲気に、浸りたい」——そうした、感情的・社会的な「用事」を、片づけるために、その店を、“雇って”いるのです。そして、その用事を、片づけているのは、麺の味だけでは、ない。店の、居心地、温かさ、活気——つまり、「空気感」なのです。
さあ、あなたのお店や、商品を、お客様は、「どんな用事」を片づけるために、雇っているでしょうか。あなたは、商品のスペックや、お客様の年齢・性別といった「属性」ばかりを、見ていないでしょうか。そして、お客様が、本当に片づけたい「感情的・社会的な用事」——その多くが宿る「空気感」を、見落としていないでしょうか。
―「本当の用事」と、それが宿る空気を、設計する
だから、こう問うてください。「お客様は、どんな状況で、どんな“進歩”を求めて、うちを雇っているのか」。属性や、スペックでは、なく、「用事」で、見る。そして、その用事の、機能的な側面(味、価格)だけでなく、感情的・社会的な側面——お客様が、ここで、どう感じ、何を満たしたいのか——を、見抜く。そのうえで、その用事を、見事に片づける「空気感」を、意図して、設計するのです。お客様が、「この店は、私の、あの用事を、本当に、片づけてくれる」と、感じる空気を。
想像してみてください。あなたが、商品の改良だけでなく、お客様が本当に片づけたい「用事」と、それが宿る「空気感」を、設計したとき——お客様が、他のどこでもなく、あなたのお店を、繰り返し、“雇い”に来る様子を。お客様は、あなたの商品を、買っているのでは、ありません。あなたの空気を含めた「用事の解決」を、雇っているのです。あなたは、お客様が、本当に雇いたい「用事」を、見抜いていますか。
―勝田耕司