『透明資産』経営のススメ【透明資産経営のススメ】「チームを作れば、強くなる」は、幻想である――勝負は、“始める前”に決まっている

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。

「チームで、やろう」。「プロジェクトチームを、組もう」。経営者は、何かを成し遂げたいとき、人を集めて、「チーム」を作ります。そして、こう信じている。優秀な人を集めて、チームにすれば、一人ひとりの力の、足し算以上の成果が、出るはずだ、と。ところが、チーム研究の、世界的権威が、40年の研究の末に、たどり着いた結論は、この信念を、根底から、揺さぶるものでした。下手に作られたチームは、一人ひとりが、別々に働くより、むしろ、「弱い」。今日は、チームが本当に力を発揮するための、空気と条件の、設計について、お話しします。

―「個人のほうが、チームより、優れていた」

その権威、ハーバード大学のリチャード・ハックマンは、衝撃的な事実を、こう述べています。「チームの成果と、同じ人数が別々に働いた成果を比べる研究は、ほとんどいつも、“個人のほうが、チームを上回る”という結果を出す」。

これは、何を意味するでしょうか。人を集めて「チーム」と名づけ、一緒に働かせるだけでは——それは、強くなるどころか、むしろ、足を引っ張り合い、一人ひとりの力の、合計すら、下回ることがある、ということです。チームは、作れば、自動的に、強くなるものでは、ない。むしろ、放っておけば、烏合の衆に、なりかねない。多くの経営者が、「チームを作った」というだけで、安心し、そして、なぜ、成果が出ないのか、首をかしげる。答えは、こうです。チームを「作った」けれど、チームが機能する「条件」を、設計しなかったから、なのです。

―チームの成否は、「誰を入れるか」より、「条件」で決まる

ハックマンの、もう一つの、重要な発見。それは、チームの成否は、「誰を、メンバーにするか(人選・性格)」よりも、リーダーが、どんな「条件」を、整えるかで、決まる、ということでした。そして、彼は、チームが力を発揮するための、5つの条件を、特定します。

第一に、「本物のチームであること」。名ばかりのチームでは、ない。誰が、メンバーで、誰が、そうでないか、境界が、はっきりしている。そして、メンバーが、安定している(コロコロ変わらない)。安定していて初めて、信頼と、ルールが、育つからです。第二に、「魅力的な、明確な方向性」。何のために、このチームが存在するのか、という、心躍る、共通の目標。これが、「北極星」となって、チームを、導く。放っておけば、集団は、バラバラの、矛盾した目的に、流れていくからです。第三に、「適切な人」。その仕事に必要な、知識と技能を持ち、バランスの取れた、メンバー構成。そして、残りの二つが、これらを後押しする条件です。第四に、「仕事を促す、構造」。役割、ルール、適切な人数。第五に、「支える、組織の文脈」。情報、資源、報酬といった、支援。(そして、必要なときの、専門的なコーチング。)

―勝負は、「走り出す前」に、ほとんど決まっている

ここに、ハックマンの、最も逆説的で、最も重要な洞察があります。リーダーの、最大のレバーは——チームが走り出した「後」の、日々の口出しや、介入では、ない。走り出す「前」の、「条件設計」に、あるのです。ハックマンは、こう言います。優れたコーチングは、「うまく設計されたチーム」の力を、さらに引き出すが、「まずく設計されたチーム」を、救うことは、できない、と。つまり、チームの成否の大半は、始める前の、舞台設定(ステージ・セッティング)で、ほとんど、決まっている。リーダーの仕事は、「舞台を、しっかり設計し、そして、一歩引いて、チームに任せる」こと、なのです。

これは、透明資産経営の、核心と、響き合います。チームが機能する空気は、走り出してから、現場で、力ずくで作るものでは、ない。それは、始める前に、5つの条件——本物のチーム、魅力的な方向性、適切な人、構造、支援——という、「空気の土台」を、意図して、設計することで、生まれるのです。多くの経営者は、この、始める前の設計を、おろそかにし、チームが迷走してから、慌てて、介入する。けれど、まずく設計されたチームは、どれだけ介入しても、救えないのです。

さあ、あなたの会社の、チームを、見てください。それは、「本物のチーム」でしょうか。メンバーの境界は、明確で、安定しているでしょうか。「魅力的な、明確な方向性」が、あるでしょうか。それとも、「とりあえず、集めた」だけの、名ばかりのチームに、なっていないでしょうか。そして、あなたは、チームの成否を、走り出した後の「介入」で、何とかしようと、していないでしょうか。

―「始める前」に、条件を設計する

だから、チームの成否を、「始める前」の、条件設計で、決めてください。第一に、「本物のチーム」にする。誰がメンバーか、明確にし、安定させる。第二に、「魅力的な、明確な方向性」を、与える。何のためのチームか、心躍る目標を、共有する。第三に、「適切な人」を、必要な技能とバランスで、選ぶ。第四に、仕事を促す「構造」と、第五に、支える「文脈」を、整える。これらを、走り出す前に、設計する。そして——設計したら、あとは、一歩引いて、任せる。細かく介入するより、舞台を、しっかり作ることに、力を注ぐのです。

想像してみてください。あなたのチームが、走り出す前に、5つの条件という土台を、しっかりと据えられ、その上で、あなたが細かく口を出さなくても、力を、足し算以上に、発揮していく様子を。それは、優秀な人を、集めたからでは、ありません。あなたが、始める前に、チームが機能する「空気の条件」を、設計したから、です。チームは、作れば、強くなるのでは、ありません。勝負は、走り出す前の、舞台設定で、ほとんど、決まっているのです。あなたは、チームを、ただ「作って」いますか。それとも、「条件を、設計して」いますか。

―勝田耕司