こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。
会社の空気は、社長一人が、つくるものでは、ありません。社員が、日々、直接、吸っている空気——それは、現場の「上司(マネジャー)」が、つくっています。良い上司の下では、空気が澄み、悪い上司の下では、空気が澱む。では、「良い上司」とは、どんな人でしょうか。仕事が、一番できる人? 技術が、一番高い人?——この、誰もが抱く思い込みを、徹底したデータ分析で、覆した会社があります。今日は、「良い上司」の、本当の条件について、お話しします。
―「上司なんて、関係ない」を証明しようとした会社
その会社は、グーグルです。エンジニア集団であるグーグルは、当初、こう信じていました。「優秀なエンジニアさえいれば、上司の質など、たいして関係ないのではないか」。むしろ、管理職など、不要なのではないか、と。そこで、彼らは、データで、それを証明しようとしました。「プロジェクト・オキシジェン」と名づけられた、この研究で、彼らは、社員アンケート、人事評価、優秀マネジャー賞の推薦など、膨大なデータを、分析したのです。
ところが——結果は、彼らの予想を、完全に、裏切りました。データは、「上司は、関係ない」どころか、「上司こそ、決定的だ」と、告げたのです。評価の高い上司のチームは、業績が高く、社員は幸福で、そして、離職が、少なかった。それどころか、「上司の質」は、社員が自分の仕事をどう感じるかに、他のどんな要因よりも、大きな影響を、与えていました。上司は、社員が吸う空気の、最大の設計者だったのです。
―良い上司の「8つの行動」――そして、技術力は8番目だった
では、評価の高い上司は、何が、違ったのか。グーグルは、データから、優れた上司に共通する、8つの行動を、抽出しました。重要度の高い順に、挙げましょう。
第一に、「良いコーチである」。答えを与えるのではなく、問いかけ、本人に考えさせ、成長を支える。第二に、「権限を委譲し、細かく管理しない」。任せ、自律を尊重する。第三に、「チームの成功と、一人ひとりの幸福(well-being)に、関心を示す」。第四に、「生産的で、結果にこだわる」。第五に、「良い聞き手であり、情報を共有する、優れたコミュニケーターである」。第六に、「キャリアの成長を、支援する」。第七に、「明確なビジョンと戦略を持つ」。そして、第八に——「チームに助言できる、技術的なスキルを持つ」。
お気づきでしょうか。グーグルが、当然、一番重要だと思い込んでいた「技術力」は——8つの中で、最下位、8番目だったのです。エンジニアの会社でさえ、です。良い上司とは、技術が一番すごい人では、なかった。コーチし、任せ、気にかけ、聴く人——つまり、良い「空気」をつくる人、だったのです。
―「仕事ができる人」を管理職にして、空気を壊していないか
ここに、透明資産経営の、核心があります。多くの会社が、犯している、根本的な間違いがあります。それは、「仕事が、一番できる人」を、管理職に、昇進させることです。一番売る営業を、営業部長に。一番腕のいい職人を、現場のリーダーに。一見、当然の人事に見えます。ところが、グーグルのデータが示したのは、「優れたプレーヤーであること」と、「優れた上司であること」は、別物だ、ということでした。「名選手、名監督にあらず」。この古い格言を、データが、証明したのです。
仕事はできるが、人をコーチできない、任せられない、気にかけない、聴けない——そんな人を、上司にすれば、その人の下の空気は、澱みます。皮肉なことに、あなたは、「最も優秀な人」を昇進させたつもりで、「最も空気を壊す上司」を、任命しているかもしれないのです。そして、その澱んだ空気の中で、部下たちは、力を発揮できず、辞めていく。
さあ、あなたの会社の管理職は、どういう基準で、選ばれているでしょうか。「仕事ができるから」でしょうか。「技術が高いから」でしょうか。それとも、「良い空気をつくれるから」でしょうか。あなたの会社の、評価の低いチーム——そこには、「仕事はできるが、良い上司ではない」人が、いないでしょうか。
―「空気をつくれる上司」を、設計する
だから、上司を、「空気の設計者」として、捉え直してください。第一に、管理職の選抜・評価の基準を、変える。「どれだけ仕事ができるか」だけでなく、「コーチングできるか」「任せられるか」「気にかけているか」「聴いているか」を、評価する。グーグルは、まさに、これをやりました。優秀マネジャー賞の基準を、生産性から、コーチング・支援・コミュニケーションへと、改めたのです。第二に、管理職を、育てる。グーグルは、8つの行動を、研修で教え、その結果、評価の低かった上司たちが、実際に、改善しました。良い上司は、生まれつきではなく、育てられるのです。第三に、「技術は高いが、上司に向かない人」に、無理に管理職を、押しつけない。専門職として、別の形で、活躍し、報いる道を、用意する。
想像してみてください。あなたの会社の、すべての管理職が、「良い空気をつくる上司」になったとき——各チームの空気が澄み、社員が力を発揮し、離職が減り、業績が上がっていく様子を。それは、彼らが、技術的に、優秀になったからでは、ありません。あなたが、「上司とは、空気の設計者である」と、捉え直し、その条件で、選び、育てたから、です。あなたの会社の上司たちは、良い空気を、つくっていますか。それとも、仕事ができるというだけで、空気を、壊していませんか。
―勝田耕司