こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。
「空気が大事なのは、分かる。だが、しょせん、感覚の話だろう。数字にならないものを、経営はできない」。——透明資産経営を語ると、必ず、この反論に出会います。もっともな、指摘です。経営者は、売上を測り、原価を測り、在庫を測る。測れるからこそ、管理でき、改善できる。では、「空気」は、測れないのか。——いいえ、測れます。そして、測った瞬間、空気は、「感覚」から、経営を導く「計器」へと、変わるのです。今日は、空気を、計器で経営する、という話をします。
―空気(エンゲージメント)と、業績の、動かぬ相関
世界最大級の調査会社ギャラップは、数十年にわたり、「エンゲージメント(社員の、仕事への熱意と、つながり)」——すなわち、空気の状態——を、測り続けてきました。その測定は、「Q12」と呼ばれる、検証済みの、12の問いから成ります。「自分が何を期待されているか、分かっているか」「良い仕事を、認めてもらえているか」「職場に、成長の機会があるか」——そうした、空気の質を、数値化するのです。
そして、ギャラップは、この“空気の計器”の値と、会社の“硬い業績”との関係を、途方もない規模で、分析しました。最新の分析は、90か国、53業種、18万を超える事業単位を、対象にしています。結果は、明白でした。エンゲージメントが「上位4分の1」の職場は、「下位4分の1」の職場に比べ、収益性が23%高く、生産性(売上)が18%高く、顧客ロイヤルティが10%高い。そして、離職率は最大43%低く、事故は64%少なく、欠勤は81%少なく、品質不良は41%少なかった。——空気は、感覚では、ありません。それは、収益、生産性、離職、事故、欠勤、品質、顧客——経営の、あらゆる硬い指標に、測定可能な形で、直結していたのです。
―そして、その空気の7割は、「経営(上司)」が決めている
さらに、ギャラップは、経営者が、決して目を逸らせない、もう一つの事実を、突き止めました。職場ごとのエンゲージメント(空気)のばらつきの、実に「70%」は、その職場の“マネジメントの質”で、説明できる、というのです。
これは、二重の意味で、重要です。第一に、空気は、社員の気質や、景気や、運で決まるのでは、ない。その7割は、経営が、決めている。つまり、空気は、経営者の責任であり、そして——設計可能だ、ということです。第二に、これは、逃げ道を、塞ぎます。空気が悪いのを、「うちの社員は」「今の時代は」と、外のせいにはできない。空気の7割は、鏡の中の、経営者自身が、つくっているのですから。
―「測れないものは、設計できない」
ここに、透明資産経営の、根本原理があります。経営とは、測ることから、始まります。測れるからこそ、現在地が分かり、目標を立て、打ち手の効果を検証し、改善できる。売上を測らずに、売上を伸ばすことは、できません。同じように——空気を測らずに、空気を設計することは、できないのです。多くの経営者が、空気を「感覚」の領域に置き去りにし、だから、設計も、管理も、改善も、できずにいる。空気を、経営の対象にする、その第一歩は、それを「測る」ことなのです。感覚を、計器に、変えること。
さあ、あなたの会社では、空気は、測られているでしょうか。あなたは、売上や、原価は、毎月、正確に把握している。では、社員のエンゲージメントは、どうでしょうか。それは、「なんとなく、悪くないと思う」という、あなたの感覚に、委ねられていないでしょうか。もし、そうなら——あなたは、最も業績に直結する資産を、唯一、計器なしで、経営していることに、なります。飛行計器なしで、雲の中を飛ぶように。
―空気を、計器で、経営する
だから、空気を、測ってください。ギャラップのQ12のような、検証された物差しでも、簡易な「eNPS(社員が、自社を、働く場所として、人に勧めたいか)」でも、定期的な、率直なパルス調査でも、いい。大切なのは、空気を、「感覚」から、定点観測する「数値」へと、変えること。そして、その数値を、売上や利益と、同じテーブルの上に、載せることです。数値化すれば、どの部署の空気が、いつ、悪化したかが、見える。打ち手の効果が、検証できる。そして、あの「7割」の事実を、忘れないでください。空気の数値が悪いなら、直すべきは、社員ではなく、マネジメント——あなたと、あなたの管理職の、行動です。
想像してみてください。あなたが、毎月、売上とともに、「空気の計器」を、確認し、その針の動きを見ながら、経営の舵を、切っている様子を。空気が、業績の“結果”として事後に判明するのではなく、業績を動かす“先行指標”として、あなたの手元で、管理されている様子を。空気は、感覚では、ありません。測れば、それは、経営を導く計器になる。測れないものは、設計できない。だからこそ——まず、あなたの会社の空気を、測ることから、始めてください。
―勝田耕司