こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。
―明るく夢見た人ほど、達成できなかった
「ポジティブ・シンキング」の教えは、こう言います。目標が達成された姿を、鮮やかに思い描け。その喜びを、ありありと感じろ。そうすれば、実現する、と。心理学者ガブリエレ・エッティンゲンは、これを、検証しました。結果は、ポジティブ信仰にとって、居心地の悪いものでした。
ある目標について——ダイエット、就職、片思い——最も「明るく、ポジティブに」夢見た人ほど、達成できていなかったのです。体重は、より減らず、内定は、より少なかった。ポジティブな空想は、それだけでは、かえって「力を抜いてしまう」。なぜか。脳が、成功を、映画のように再生すると、体は、それを「もう達成した」と読み取り、そこへ向かう努力を、緩めてしまうのです。今日は、あなたの「明るいビジョン」や「前向きな激励」が、実は社員のやる気を、そっと奪っているかもしれない、という話をします。
―夢は、「障害」にぶつけて、初めて、力になる
では、どうすればいいのか。エッティンゲンが見出したのは、「メンタル・コントラスト(心理対比)」です。まず、願い(Wish)と、達成された結果(Outcome)を、鮮やかに思い描く。そして——その次に、それを阻む、最も重要な、内なる「障害(Obstacle)」を、正直に、思い描く。この順番が、決定的です。夢と障害を、ぶつける。すると、その対比が、「本当に達成できるのか」という検証を、脳に強い、達成可能な願いを、本物の「決意」へと変える(そして、不可能な願いは、きれいに手放させる)。さらに、そこに、心理学者ゴルヴィツァーの「実行意図(if-thenプラン)」を、加える。「もし、その障害(状況X)が現れたら、そのとき私は、Yをする」。この「もし〜なら」の計画は、目標達成率を、大きく(研究では、ほぼ倍に)高めます。これらを合わせたのが、WOOP(願い・結果・障害・計画)。そして、最も多い失敗は、「障害」の段階を飛ばすこと——それをすると、また、あの、力の抜けるポジティブ思考に、逆戻りするのです。
ここに、透明資産経営の設計原理があります。あなたは、人を鼓舞しようとして、明るい絵を描くのが、本能です。心躍るビジョン、「我々は、ここまで行ける」、絶え間ない楽観、壁に貼った標語。けれど、純粋なポジティブ空想は、科学によれば、そこへ向かう「力を、抜いてしまう」。あなたのチームは、勝利を鮮やかに思い描いたことで、もう半分勝ったかのように感じ、緩む。だから、本物の達成の空気は、楽観を煽ることでは、設計できない。それは、特定の手順で、設計する——願いと結果を描き、次に、最大の障害に、正直に向き合い、そして、その障害が現れたときに何をするかの、if-thenプランを、作る。障害に触れない楽観は、鎮静剤です。達成は、明るい絵が、壁にぶつかる、その一点で、設計されるのです。
さあ、あなたが、目標に向けて、どう社員を鼓舞しているかを、見てください。明るいビジョンと「やればできる」ばかり——鮮やかな成功の絵、絶え間ない前向きさ、障害は決して名指しされない(それを名指すのは「後ろ向き」に感じるから)ではないでしょうか。だとしたら、あなたは、チームを、鎮静させているのかもしれない。まだ勝ち取っていない勝利の感覚で、彼らを満たし、それを勝ち取る力を、抜いてしまっている。そして、(あなたが名指すのを拒んだ)障害が、必然的に襲ってくると、計画が、ない。空想に忙しくて、備えなかったから。だから、努力は、最初の壁で、崩れる。あなたの、障害と計画を伴わない、鼓舞的な楽観が、あなたが奮い立たせようとする、まさにその人々を、静かに、やる気を、そいでいるのです。
だから、目標の立て方に、WOOPの手順を、設計してください。願いを名指し、結果を、鮮やかに描かせる(それが、引力です)。そして——ここが肝心です——最も重要な障害に、正直に、向き合う。とりわけ、内なる障害(実際にあなたを脱線させる、あの習慣、あの先延ばし、あの恐れ)に。そして、if-thenプランを作る。「もし、その障害が現れたら、そのとき、この具体的な行動を取る」。壁に、ぶつかる前に、壁への対応を、決めておく。想像してみてください。あなたのチームが、本物の、持続する力で、目標を追う様子を。あなたが、彼らの楽観を膨らませたからではなく、願いを、達成へと変える、対比と計画を、設計したから、です。
頂上を鮮やかに夢見ても、山は登れません。それは、体を、もう頂上にいるかのように、錯覚させるだけ。本物の達成は、願いが障害に出会い、if-thenプランが壁に出会う、その点で、設計される。だから、純粋な楽観を、売るのを、やめて、その対決を、設計してください。願い、結果、障害、計画。頭の中の絵だけでは、足りない。その絵を、壁に、ぶつけねばならないのです。
―勝田耕司