こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
ー利便性のコモディティ化が招く「感情の飢餓」
経営者の皆様、2026年の今、私たちの周りにはAIによる「最適解」が溢れかえっています。問い合わせをすればAIが完璧な敬語で即座に回答し、レジを通らずとも決済が終わり、過去の購買データから「あなたが次に欲しいもの」が寸分違わず提示される。確かに便利です。しかし、その完璧な利便性の裏側で、お客様の心に「言いようのない虚しさ」や「冷たさ」が澱(おり)のように溜まってはいないでしょうか。
かつて差別化要因だった「速さ」や「正確さ」は、今やAIによって無料で提供されるコモディティ(汎用品)となりました。すべてが合理的で無機質な「正解」で埋め尽くされた世界において、人々は今、完璧ではない「人間らしさ」を猛烈に渇望しています。
2026年の消費者が最後に財布を開くのは、AIが導き出した効率的な提案ではありません。その背後にある「誰が、どんな想いでこれを作ったのか」という体温、そしてその場に漂う「情緒的な空気」です。私はこれを「人間回帰の透明資産」と呼んでいます。AIが支配する脳内のキャッシュ(一時記憶)を、長期的な信頼へと固定できるのは、もはや人間だけが放つことのできる非合理で情緒的な熱量だけなのです。
ー「完璧さ」を捨て、「不完全な誠実さ」を資産にする
2026年に評価される「人間らしさ」とは、もはやスマートな接客スキルではありません。それは、完璧でない言葉、体験に基づく泥臭い意見、そして失敗や試行錯誤を隠さず共有する「不完全な誠実さ」です。
例えば、あるアパレル店舗では、AIによる完璧なコーディネート提案をあえて補助的なものに留め、スタッフが「自分の失敗談」を交えて服を薦めるという空気設計を行っています。「実は私もこの素材で失敗したことがあって……」という、AIには決して語れない個人的な痛みや実体験。この「不完全さ」という透明資産が、顧客に圧倒的な安心感と信頼を与え、結果としてAI単体での提案よりも数倍高い成約率とリピート率を叩き出しています。
情報の93%を非言語で受け取る人間にとって、AIの生成する完璧なテキストよりも、スタッフのふとした表情や、その場の「一生懸命さ」から伝わる空気の方が、遥かに強力な説得力を持つのです。デジタル化が進めば進むほど、こうした物理的な接点や情緒的な交流の希少価値は上がり、そこにかけるコストは単なる「経費」から、代替不可能な「ブランド資産」へと昇華されます。
ーAIが「作業」を、人間が「意味」を担う役割分担
透明資産経営において、AIは敵ではありません。むしろ、人間が「情緒的空気」の醸成に集中するための最強のパートナーです。2026年の勝てる組織は、AIにルーティン業務やデータ分析といった「作業」を任せ、人間が顧客との「つながり」と「信頼」を築くことに時間を全投下できる環境を整えています。
人間は「作業者」から、AIが下す判断の「倫理的監督者」や、その事業が社会に提供する「価値の目的定義者」へと役割をシフトさせるべきです。「この商品はAIの計算によれば売れません。でも、私はこの技術が人を救うと信じているから、あえて世に出したい」。
このような、AIには理解不能な「非合理な決断」や「意志」こそが、2026年のブランドリーダーが持つべき最大の資産となります。データが示す正解をあえて裏切り、情熱という名の「不透明な可能性」に賭ける。その姿勢こそが、冷え切ったデジタル社会に「情緒的な熱」という新しい空気を吹き込むのです。
ー社長塾と社内学校で磨く「People-Centric(人間中心)」
この情緒的な空気は、表面的な研修では創れません。経営者は「社長塾」において、AI共生時代を生き抜くための新しいマインドセットを社員に伝えなければなりません。それは、「効率よりも信頼」「テクノロジーよりも人間(People-Centric)」を徹底的に重視するという明確で腹落ちするメッセージです。
「AIが導入されても、君たちの価値は下がらない。むしろ、君たちが顧客に向ける『優しさ』や『お節介』の価値が何倍にも上がるんだ」。 社長がこう断言し、社員の心理的安全性を確保することで、現場には「AIに使われる恐怖」ではなく「AIを使いこなして人間らしく振る舞う愉しさ」という透明な活気が生まれます。
そして「社内学校」では、最新ツールの使い方以上に、「AIにはできないコミュニケーション」や「顧客の心の機微を察する作法」を、先輩社員が生き様として後輩に伝承すべきなのです。2026年は、AIと人間が混合チームで働く組織運営が当たり前になる元年です。そのチームの潤滑油となるのは、常に「人間の温もりのある言葉」なのです。
ー2026年、情緒的価値が「最後の通貨」になる
AIがどんなに「おもてなし」を学習しても、それはあくまで受動的な出力に過ぎません。自ら傷つき、自ら願い、自ら愛するという「主体的で情緒的な空気」を纏うことは、人間にしかできません。
社長、あなたの会社の現場に、AIが「損である」と計算した選択肢を、あえて選ぶ「意志の強さ」はありますか。 利便性という正解の先に、お客様を震わせる「情緒」という名の透明資産を積み上げてください。すべてが自動化される2030年に向けて、最後に残るのは、あなたが社員と共に守り抜いた「人間臭い体温」という名の空気だけなのです。
ー勝田耕司

