飲食店に対し、健康を意識したメニュー提供に関する調査を実施。92.3%が「食の安全性」に配慮
■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:247名
調査期間: 2018年5月1日~2018年5月9日
調査方法:インターネット調査
■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち68.4%が1店舗のみを運営しております。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は56.7%(首都圏の飲食店の割合は71.6%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。
<調査結果について>
■92.3%の飲食店が「食の安全性」に配慮。一方で、「カロリー」に配慮する飲食店は26.8%
まず、食の安全性・カロリー・栄養素の3つの観点について、どの程度配慮しているかを聞いたところ、「とても配慮している」または「やや配慮している」と回答した飲食店の割合は、「食の安全性(92.3%)」、「カロリー(26.8%)」、「栄養素(42.5%)」、という結果となりました。
飲食店における食の安全性への配慮の重要性は言うまでもなく、9割以上の飲食店が「食の安全性に配慮している」と回答したのは当然の結果であるとも言えます。また、カロリーや栄養素への配慮については回答にばらつきが見られましたが、飲食店には様々な業態があり、例えば焼肉店やラーメン店などはカロリーよりも満腹感や美味しさを求めて来店する客が多く、店舗の業態や提供するメニューによる影響が大きいものと推測されます。
■42.5%の飲食店が、健康を売りにしたメニューを提供。多くは集客への効果を実感
次に、健康を売りにしたメニューを提供しているかどうかを聞いたところ、「提供している(42.5%)」、「提供していない(57.5%)」という回答が得られました。
また、「提供している」と回答した飲食店に対し、健康を売りにしたメニューは集客に役立っていると感じるかどうかを聞いたところ、「感じる(75.2%)」、「感じない(24.8%)」という回答が得られました。
引き続き、「提供している」と回答した飲食店に対し、提供しているメニューや効果について自由記述形式で聞いたところ、以下のような回答が得られました。
・化学調味料無添加は必須。養殖ものはなるべく避ける。天然物を中心にナチュラルな味でお客様の体に負担がかからないように配慮している。お客様より「いつもよりたくさん食べられる」との声をよくいただく。リピート率が高い。(東京都/フランス料理/1店舗)
・野菜たっぷり、油は使わない和食を提供しています。和食というとどうしても野菜が少なくなりがちですが、すり流しや付け合わせに野菜を多く使っています。特に大きく謳っていませんが、「外食で全部食べられたなんて久しぶり」とか「体が元気になれる気がする」などの声をいただきます。高齢のお客様や女性のお客様から特に喜んでいただいています。(東京都/和食/1店舗)
・すべての料理において、化学調味料不使用、サラダオイル不使用、エクストラバージンオリーブオイル使用、保存料等の添加物不使用の醤油を使用。とくに女性が喜びます。 (東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・アルコールを分解しやすくなるタウリンを多く含んだ魚介類や、低糖質高タンパクな肉類、食物繊維の豊富なキノコ海藻類といったおつまみメニュー。クエン酸やアミノ酸を使った疲労回復のカクテル等も用意している。低糖質でのダイエッターや、ボディメイクしているビジネスマン等に受けがとても良い 。(東京都/その他/1店舗)
健康へ配慮したメニューの提供により、女性や高齢者を中心とした、健康への意識が高い客層の囲い込みを図っている様子が窺えます。
■70.4%の飲食店が「飲食店においても健康食への対応が必要」と回答。対応を模索する飲食店も
また、消費者の健康食への意識の高まりを受け、飲食店においても健康食への対応が必要と思うかどうかを聞いたところ、「思う(70.4%)」、「思わない(29.6%)」という結果になりました。
引き続き、その理由について自由記述形式で聞いたところ、以下のような回答が得られました。
<健康食への対応が必要だと思う>
・安ければいいという方と健康を気遣われるお客様に二極化しています。しかし、お客様はどうあれ「医食同源」という言葉があるように、食を提供する側の責任としてお客様の健康を度外視した商売は、そもそもありえないと思います。(埼玉県/カフェ/1店舗)
・一般的な外食のほとんどは、チェーン店やコンビニ、スーパーでの食品という外食産業の料理が大多数を占めている。しかし、お客様の中には意識して身体に良い物を摂取したいと考える方もいるので、個人店の当店としては、そこが本物を提供できる強みであると思っていますし、私自身も身体に良い物を提供したいと心から思います。(大阪府/イタリア料理/1店舗)
・飲食店は儲け重視になるといかに材料費を安くするかという視点になりがちだが、お客様を重視して考えれば有機食材を採用するのが当然だと思うし、それが当たり前の世の中であってほしいと思う。(東京都/カフェ/1店舗)
・消費者の健康への関心が高まっている以上、美味しさ美しさと同様に店選びの重要な要素の一つになっているという事は無視できないので。(東京都/和食/2店舗)
・女性客、家族客を取り込むために必要と考えております。(千葉県/専門料理/1店舗)
・野菜を中心とした健康食も取り入れることで、お酒を飲まないお客様にも飲食需要ではなく食事利用として来店を見込めると思うから。最近はたばこを吸わない人も多く、またお酒もほとんど飲まない人も見受けられるので、新規の客層を狙うなら健康的でバランスの良い食事利用の機会を増やすことも必要だと思います。(東京都/和食/2店舗)
<健康食への対応が必要だと思わない>
・体に良い材料は使うべきだと思うが、低カロリーなどを気にするのであれば、家で食べれば良いと思う。店舗は家庭ではなく、美味しい料理を提供する場所だと思うから。(東京都/専門料理/1店舗)
・レストランは自宅では食べることのできない食材や料理を楽しむ空間なので、カロリー計算などを気にする必要はないと思う。食の安全性の観点で考えれば、生産者が見える野菜や無農薬の野菜、国産の食材などにはこだわるべきだと思う。(愛知県/鉄板焼き・お好み焼き/3~5店舗)
・健康管理は家庭で。外食ではおいしいものを。(神奈川県/焼肉/1店舗)
・食事における健康への配慮は、日々家庭で行ってこそのものだと思います。毎日ご利用いただける食堂やお弁当屋さんでは、重要なことかもしれません。非日常を感じていただきたいレストランにとっては、たまの一食を健康にこだわる意味を感じません。(埼玉県/専門料理/2店舗)
・健康を意識する店、しない店、とそれぞれあるべきで、どこもかしこも意識する、では面白くないから。(東京都/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
「健康食への対応が必要だと思わない」と回答した飲食店の中でも、食材に対しては体に良いものを使用するべき、という趣旨の意見は多く、個人店を中心とした飲食店の「食の安全性」への責任や意識の高さを窺う事ができます。
また、「健康食への対応が必要だと思う」と回答した飲食店の中には、以下のような回答も見受けられました。
・高齢化社会になる中、お客様も年配の方が多くなり、量より質の高い食材、身体に良い食材を求められるようになって来ているので、今後フランス料理でどう表現するかが課題です。(東京都/フランス料理/1店舗)
・業態がラーメン専門店です。最近はカロリーを気にする方が多いのでメニューの開発に頭を悩ませている。(東京都/ラーメン/2店舗)
外食においても健康に配慮したメニューへの関心は高まってきており、対応を模索する飲食店の様子を窺う事ができます。
■調査結果の引用時のお願い
本調査結果の引用時には、以下のご対応をお願い申し上げます。
・クレジットに、「飲食店.COM(株式会社シンクロ・フード)調べ」と明記ください。
・WEB上で引用いただく際には、「飲食店リサーチ」( https://www.inshokuten.com/research/company/)へのリンク付与をお願いいたします。
<問い合わせ先>
■飲食店リサーチについて
・URL:https://www.inshokuten.com/research/company/
「飲食店リサーチ」は、飲食店に特化したリサーチサービスです。
飲食店出店者・運営者に対してアンケートを実施し、マーケティングデータを取得することが可能です。飲食店向けの新しい商品・サービスの企画や食品・飲料の研究・開発等の際に、ニーズの把握・データの裏付けといった様々な形で、マーケティングデータを活用いただけます。