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COLUMNコラム

日本の外食史に残るロングセラーメニューは そこにかかわる人々の熱い想いが生んだ

外食における最強のキラーコンテンツは、長く愛されるメニューです。

 

ロングセラーメニューがあってこそ顧客の支持を継続していただくことができ、それが店の高いブランド力につながります。

 

ロングセラーメニューは一朝一夕にできるものではありません。というより、完成することがないものです。

 

常に「よりよいもの」をめざして進化を続けていないと、必ずお客さまの支持を失うことになってしまいます。

 

かつて“チェーンレストラン全盛期”がありました。ファストフードやファミリーレストランが急速に勢力を伸ばし、人々のライフスタイルを大きく変えた時代です。

 

それは外食マーケットに成長の余地が大きかったこともありますが、商品をよりよくしていくという企業側の絶えざる努力があってこそ実現できたことです。

 

業界の取材経験が長い外食ジャーナリストから、こんな話を聞いたことがあります。

 

「かつてのマクドナルドのスター店長だった人は、営業が終わった後にスタッフと『ハンバーグパティをどのようにグリドルに並べれば速く、しかもおいしく焼くことができるか』について、それこそ毎日のように議論をしていたそうです。」

 

その人が店長を務めていた店はチェーンを代表する超繁盛店。閉店後は疲労困憊だったはずですが、「早く帰ろう」より「もっとおいしくしよう」という意欲が勝っていたということです。

 

また、こんな話もありました。

 

「ロイヤルホストに『ディモズパンケーキ』というメニューがありますが、かつて料理長を長く務めた人はこのメニューの導入当初をふりかえってこう語っていました。『パンケーキを焼くグリドルを厨房メーカーと共同開発し、鉄板の厚さや鉄板と熱源の距離などについて喧々諤々、連日徹夜で議論していましたね』。それから50年近くが経ちましたが、ディモズパンケーキはいまもロイヤルホストのメニューに載り続けています。開発に膨大な時間と労力をかけたことが、このロングセラーにつながったわけですね」

 

ディモズパンケーキの当時の価格は250円。ロイヤルホストのメニューの中で決して主力というわけではないし、安価なものであるにもかかわらず、そこにかかわる人々の「おいしくしよう」という意欲が注ぎ込まれたからこそ、これだけ長きにわたって支持されるメニューができたわけです。

 

スタッフの熱い想いが生んだロングセラーメニュー。日本の外食産業史に残る貴重な「透明資産」がここにあります。

 

ー勝田耕司

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