クラフトビールがもっとおいしくなる!ヨーロッパ産チーズ
ビールがよりおいしく感じる、そんな爽やかな季節になりました。
日本で主流となっているラガータイプやピルスナータイプのビールは、シュワシュワっとした泡と軽快なのどごしが持ち味。どんな食事やチーズにも合ってくれる、言わば、万能選手のようなビールです。
一方で、最近はホワイトビールや黒ビールといったタイプのビールも、よく見かけるように。クラフトビールの人気とともに、大手メーカーも商品を展開しています。
そこで、今回は味わいあるこのホワイトビールや黒ビールに注目し、それぞれに相性の良いチーズをご紹介します。
■香り豊かでフルーティーなホワイトビールに、2種のチーズ
ビールの主原料は大麦麦芽ですが、ホワイトビールの場合は、小麦を多くの割合で使用しています。バナナや柑橘系の果物、またジャスミンやスズランといった白い花のような香りがあるビールなので、「ビールはどうも苦くて・・・」と敬遠している方におすすめのビールです。
ホワイトビールのおいしさを引き立ててくれるチーズのひとつは、酸凝固タイプのソフトなチーズ。真っ白でホロホロとした食感で、ヨーグルトのような爽やかな酸味が美味しいチーズです(下記写真①のチーズ)。
これに香味豊かなホワイトビールを合わせると、まさにフルーツヨーグルトをイメージさせる味わいに。少しデザート感覚で楽しめるペアリングになります。
「もう少しおつまみ感がほしい」という方には、ミモレットのようなしっかりと熟成したハードタイプのチーズを(下記写真②のチーズ)。チーズの品揃えの良い店なら棚に並んでいることも多いタイプのチーズです。
うま味が濃厚で塩味もしっかりある長熟のチーズに、ホワイトビールを合わせると、その濃厚さを少し和らげながら風味をさらに豊かにしてくれます。熟成させた肉のステーキにレモンバターソースをかける、焼いた干物に柑橘をキュッと搾る・・・そんな合わせ方に近い感覚があります。
■コク豊かな黒ビールには、ミルク感のあるチーズを
黒ビール(ブラックビール)は、しっかりとローストした大麦麦芽を原料としています。そのため、色が濃く、キャラメルやビターチョコレートのような香りがあり、苦味と甘味が共存しているのが特徴のビールです。コーヒーがお好きな方は、焙煎で変化する香味の違いがイメージしやすいかと思います。
これにぜひ合わせてほしいのは、コンテなどのような山岳地帯で作られる大きなハードタイプのチーズ(上記写真③、④のチーズ)。風味にあまりクセがなく、それでいてうま味があるチーズばかりなので、日本でも人気です。
山のハードタイプのチーズは、熟成度合いによって楽しめるポイントも変化。まだ若いものは、やさしいミルク感が特徴なので、黒ビールと口の中で合わせると、キャラメルかけのナッツのような、何かお菓子のような印象になります。
一方、18ヶ月以上のしっかりと熟成した山のハードチーズは、食べると少ししゃりしゃりとしたアミノ酸の結晶が生じてきて、香味も複雑に。ミルク感というよりは焼栗のようなこっくりとした味わいになります。
この長熟タイプのチーズと黒ビールを口の中で合わせると、うま味が増強。おつまみというよりは、食事をしているという感覚に近いペアリングとなります。
一口にホワイトビールや黒ビールと言っても、もちろんつくり手によって味わいにバリエーションが生まれます。クラフトビールであれば、さらに千差万別の風味があります。多種多様なヨーロッパ産チーズと合わせれば、組み合わせは無限です。
今回のおすすめをひとつのヒントにしながら、お好みのビールの味わいを紐解いてみると、あなたにぴったりのチーズが見えてくるかもしれません。困ったときは、チーズ専門店へ。ショップスタッフは喜んでアドバイスしてくれるはずです。
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監修: 佐野嘉彦(さの・よしひこ)氏
C.P.A.認定 チーズプロフェッショナル、Japan Cheese Award運営委員、
2017 Mondial du Fromage・国際チーズコンクール審査員。
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CNIEL(フランス全国酪農経済センター):フランス国内の約90,000人の酪農家および3,000社の乳業メーカーが加盟する非営利団体。主に、国内外の酪農業界の経済動向、健康に与える影響などの科学的な研究、チーズを中心とした乳製品の広報活動を行う。