『透明資産』経営のススメ【透明資産経営のススメ】追い詰められた人は、文字どおり「頭が悪くなる」――“余白”ではなく“帯域”を設計する

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。

―収穫の「前」と「後」で、同じ農民のIQが変わった

インドのサトウキビ農民は、収入を、年に一度、収穫時に、まとめて受け取ります。つまり、収穫前は「貧しく」、収穫後は「豊か」。研究者マラィナタンとシャフィールは、まったく同じ農民に、収穫の前と後で、認知テストを受けさせました。すると——同じ人間なのに、収穫「後」のほうが、およそ13ポイントも、IQ換算で高いスコアを出したのです。頭が良くなったのではありません。「お金の心配」という重荷が、頭から降りたから、です。

別の実験では、低所得の買い物客に、「1500ドルの車の修理」を想像させただけで、認知能力が、一晩の徹夜に匹敵するほど(約13ポイント)落ちました。150ドルの修理では、何も起きなかったのに。今日は、あなたが社員を「時間的に」追い詰めることが、彼らを、文字どおり「頭が悪く」し、会社全体を罠にはめている、という話をします。

―「欠乏」は、心を占領し、判断力を奪う

マラィナタンとシャフィールは、こう説明します。欠乏——お金、時間、注意の不足——は、心を「占領」します。目の前の不足に、意識がトンネルのように集中し(トンネリング)、それ以外のすべてを、視界から締め出す。そして、この状態は、「認知の帯域(バンド幅)」に、税金を課す。知能、自制心、判断の質を、測定できるほど、押し下げるのです。しかも、これは自己増殖する罠です。「欠乏の罠」——目の前の火事にトンネリングするあまり、重要だが緊急でないこと(計画、予防、改善)を怠り、それが、明日のさらなる火事を生み、欠乏を、いっそう深める。忙しい人は、ますます忙しくなる。

ここに、透明資産経営の視点があります。あなたの会社で、最も欠乏しがちな資源——それは「時間」です。あなたが、社員を、慢性的に「時間的に貧しい」状態——過負荷、急かされ、火消しに追われる状態——で走らせるとき、あなたは、彼らを疲れさせているだけでは、ありません。あなたは、彼らの認知の帯域に税金を課し、目の前の火事にトンネリングさせ、そして——文字どおり、彼らを、思考が下手で、衝動的で、判断の悪い人間に、しているのです。過負荷の社員は、怠けているのでも、頭が悪いのでもない。帯域に、課税されているのです。そして、それは罠です。今日の火事にトンネリングした彼らは、重要で緊急でない仕事(それが明日の火事を防ぐのに)を怠り、それが明日の火事を生み、欠乏を深める。あなたは、社員を認知的に貧しくし、会社全体を火消しの罠にはめる「欠乏の空気」を、設計してしまっている。空気を設計するとは、負荷を最大化することではなく、「帯域」を設計することなのです。

さあ、あなたの最良の社員を、見てください。彼らは、あまりに過負荷で、あまりに急かされ、緊急のことに埋もれ、考え、計画し、予防する「心の余白」が、まったくないのではないでしょうか。あなたは(誇らしげに)全員を限界近くまで走らせ、あらゆる余裕を「無駄」と見なしていないでしょうか。だとしたら、あなたは、帯域課税の工場を、築いている。トンネリングした、衝動的で、ミスの多い人々が、反応的な火消しの罠にはまり、火事を終わらせる重要な仕事が、できずにいる。そして、緊急に埋もれたあなた自身も、トンネリングしている。だから、戦略が、いつまでも手つかずなのです。欠乏が、あなたの会社全体を、その実力より、頭の悪いものにし、罠にはめているのです。

だから、「帯域」を、設計してください。心の余白を、意図的に守る——あなた自身と、社員のために。負荷を減らし(優先事項を絞り、火事を減らし、本物の余裕を持たせ)、社員に、反応するだけでなく「考える」帯域を、取り戻させる。重要だが緊急でない時間を守る(それが、欠乏の罠を破ります)。そして、環境の認知的負担を減らす(簡素化し、自動化し、千の小さな決定を取り除く)。帯域をゼロまで課税した人に、これ以上の思考を、求めない。想像してみてください。同じ社員が、より明晰に考え、より良く判断し、ついに、火事を終わらせる予防の仕事に、取りかかる様子を。あなたが、彼らに、帯域を、返したから、です。

過負荷の心は、縮んだ心です。これは、精神論では、ありません。測定された事実です。だから、あなたが課す欠乏(時間の、余白の)は、社員を疲れさせるだけでなく、彼らを実際に「頭の悪い」ものにし、あなたたち全員を、火事の罠に、はめる。負荷を最大化するのを、やめてください。帯域を、設計するのです。最も明晰に考える会社とは、最も忙しい会社では、ありません。考えるための心の余白を、守り抜いた会社なのです。

―勝田耕司