『透明資産』経営のススメ【透明資産経営のススメ】自責の文化こそが最強のエンジンだ。「誰のせいか」ではなく「何ができるか」を語る空気の作り方とは?

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。

透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。

ー組織を腐敗させる「犯人捜し」の空気

経営者の皆様、トラブルが起きた際のあなたの第一声は何だろうか。「なぜこんなことになったんだ?」「誰が担当だった?」……もしこうした言葉が反射的に出ているなら、注意が必要だ。その問いかけは、組織に「他責」という猛毒を注入している可能性があるからだ。

「空気が濁る」瞬間というのは、明確に存在する。それは、失敗に対して「責任の所在」を追及しすぎたときだ。責任を追及されることを恐れた社員は、本能的に自己防衛に走る。「あいつが指示しなかったから」「顧客が無茶を言ったから」「景気が悪いから」。こうした言い訳が会議室を埋め尽くしたとき、あなたの会社の「透明資産」は急速に目減りし、組織のエンジンは停止する。

透明資産経営が目指すのは、不平不満を垂れ流す「他責の集団」を、自らの力で未来を切り拓く「自責のプロ集団」へと作り変えることだ。それには、犯人捜しを「仕組みの改善」へと昇華させる、高度な空気の設計図が必要となる。

ー統計が示す「当事者意識」の経済価値

「自責」や「当事者意識」という言葉を、単なる精神論で終わらせてはいけない。 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「2万人調査」では、従業員が「自分たちの仕事が組織に貢献している」と実感できている場合、プロアクティブ行動(主体的な行動)の頻度が飛躍的に高まることが示されている。

また、和光大学の研究リポジトリ等で論じられる「組織の活性化」においても、個人が「状況を変えられるのは自分だ」という自己効力感を持てるかどうかが、企業の生産性を分ける決定的な要因であると結論づけられている。

他責の組織は、外部環境の変化に対して「被害者」として振る舞うため、学習が止まる。一方で自責の組織は、変化を「改善のチャンス」と捉えるため、組織全体が高速で学習し続ける。この学習スピードの差が、数年後には競合他社との埋められない「収益の差」となって現れる。自責の空気は、まさに複利で増える資産なのだ。

ー成功事例に学ぶ「問い」の変換術

「働きがいのある会社2025」に名を連ねる企業は、いかにしてこの自責の文化を育んでいるのか。

例えば、freee株式会社だ。彼らの文化には、既存の枠組みに捉われず、本質的に何ができるかを問う姿勢が深く刻まれている。何かがうまくいかなかったとき、彼らは「誰の責任か」ではなく、「仕組みのどこに欠陥があったか」を問う。この「罪を憎んで人を憎まず」ならぬ「ミスを憎んで仕組みを改善する」という空気があるからこそ、社員は萎縮することなく、次の打手を自ら提案できる。

また、キリンビールやサッポロビールなどの歴史ある企業においても、近年はエンゲージメント向上に注力し、現場の「当事者意識」を呼び覚ます取り組みが加速している。彼らが重視しているのは、個人の「Will(やりたいこと)」と会社の方向性を重ね合わせる対話だ。会社からの命令で動く「客体」から、自らの意志で動く「主体」へと社員を導くことで、組織全体の空気を「やらされ仕事」から「自分事」へと一変させている。

中小企業の成功例として注目したいのが、株式会社武蔵野だ。徹底した環境整備と情報の共有により、社員一人ひとりが「数字の責任」ではなく「お客様への価値提供の責任」を負う仕組みを構築している。社長が現場を細かく管理するのではなく、現場が自律的に改善を繰り返す空気。これこそが、透明資産が最大化された状態である。

ー自責の空気を醸成する「3つのステップ」

では、あなたの会社で、今日からどうやって「他責」を「自責」に変えていくか。私は以下の3つのステップを提唱する。

1. 「Why」ではなく「How」で問え

トラブルが起きたとき、「なぜ(Why)やったんだ?」と問えば、相手は言い訳(過去)を探す。「どうすれば(How)次は防げるか?」と問えば、相手は解決策(未来)を探し始める。この問いの転換だけで、会議の空気は劇的に変わる。

2. 失敗の「資産化」を称賛せよ

失敗を隠す空気は、不透明な組織の象徴だ。むしろ、失敗をいち早く報告し、そこから得た教訓を共有した者を「透明資産の増大に貢献した」として称賛する場を作ることだ。

3. 「社長の謝罪」を透明にせよ

自責の文化を作る最短ルートは、社長自らが非を認める姿を見せることだ。判断を誤ったとき、方針を変更したとき、社員に対して誠実に非を認め、謝罪する。社長が自分の非を認められる「透明さ」を持って初めて、社員も自分のミスを認め、自責で考えられるようになる。

ー2026年、透明資産が「最強のエンジン」になる理由

2026年、AIの普及により、正解を出すスピードは極限まで速まる。そんな時代において、人間にしかできない唯一の仕事は「責任を取り、意思決定すること」である。 AIは計算はしてくれるが、結果に責任は取ってくれない。他責の空気がある組織では、誰もがAIの影に隠れて、意思決定を先延ばしにするだろう。

しかし、自責の文化が根付いた「透明資産経営」の実践企業は違う。社員一人ひとりが「自分がこの会社のハンドルを握っている」という自負を持ち、AIを道具として使いこなしながら、果敢に未来を創りにいく。 「誰のせいか」を議論している間に、自責の組織はすでに三歩先へ進んでいる。このスピード感の差こそが、2026年の勝敗を分かつ。

ーあなたの言葉が、空気の彩度を決める

社長、あなたの言葉は、社員を「被害者」にしているだろうか、それとも「ヒーロー」にしているだろうか。 他責の言葉は空気を濁らせ、彩度を奪う。自責の言葉は空気を澄ませ、社員の瞳に光を宿す。

今日から、社内で「景気が悪い」「業界の慣習だ」といった言葉を禁句にしてみてはどうだろうか。代わりに、「我々に、今、何ができるか?」という問いを、すべての対話の中心に据える。

その小さな積み重ねが、やがて巨大な透明資産となり、あなたの会社を「無敵の組織」へと変えていく。 自責のエンジンが唸りを上げる音。それは、社長であるあなたにとっても、最高に心地よい音楽になるはずだ。

あなたの会社のエンジン、今日は何度まで回りましたか?

ー勝田耕司