こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
創業数十年、あるいは百年を超える老舗企業の経営者の皆様、あなたは今、歴史という名の巨大な壁に突き当たってはいないでしょうか。先代が築き上げた輝かしい実績、地域からの揺るぎない信頼、そして何代にもわたって受け継がれてきた職人の技術。
それらは本来、誇るべき資産であるはずです。しかし、ふと現場を見渡したとき、その歴史が「前例踏襲」という名の鎖となり、組織の空気を重く淀ませているのを感じることはないでしょうか。
老舗企業が陥る最大の罠は、過去の成功体験が透明資産ではなく、目に見えない負債へと変質してしまうことです。「うちはずっとこうやってきた」「先代のやり方を変えるのは不届きだ」という空気が支配する組織では、新しい挑戦は「和を乱す行為」として排除され、若手の意欲は静かに削削がれていきます。
結果として、守るべき伝統そのものが、時代の変化に取り残されて朽ちていく。この悲劇を止める唯一の方法は、歴史という重みを未来への跳躍台に変える空気の脱皮を断行することです。
空気の脱皮とは、伝統を捨てることではありません。伝統の核心にある「在り方」を再定義し、それを実現するための「やり方」を現代に合わせて徹底的に仕組み化することです。その見事な成功例として、まず挙げるべきは星野リゾートの変革でしょう。
かつての軽井沢の老舗旅館だった星野リゾートが、いかにして日本を代表する運営会社へと進化したのか。その本質は、星野佳路氏が持ち込んだ「フラットな組織文化」という新しい空気の設計にあります。
老舗旅館にありがちな、大旦那や女将を頂点としたヒエラルキーと、職人的な勘に頼る運営。これらは一見すると「伝統」ですが、実態は情報の不透明さと生産性の低さを生んでいました。
星野氏は、現場のスタッフが自由に意見を言える「話しやすさ」という透明資産を、仕組みによって構築しました。役職にかかわらず「さん」付けで呼び合い、経営情報を全社員に公開し、誰でも自由に提案できる場を創る。
これにより、長年淀んでいた組織の空気が一気に浄化されました。歴史ある旅館の良さを残しながらも、運営の「やり方」をデジタルとフラットな対話で仕組み化したことで、社員一人ひとりが「自分たちの手でサービスを創っている」という当事者意識を持つに至ったのです。これはまさに、歴史という重荷を、現場の創造性という跳躍台に変えた瞬間でした。
また、奈良の老舗、中川政七商店の事例も、透明資産経営の視点から極めて示唆に富んでいます。享保元年の創業から三百年。彼らが直面していたのは、工芸業界全体の衰退という構造的な危機でした。十三代の中川政七氏が最初に行ったのは、古い商品を改良することではなく、自社の存在意義、つまり「在り方」の再定義でした。
「日本の工芸を元気にする!」という明確なビジョン(パーパス)を打ち出したことで、社内の空気は一変しました。それまでの「単に麻織物を売る会社」という認識が、「日本の文化を守り、次世代へ繋ぐ使命を担う集団」へと進化したのです。この在り方の透明化が、社員の誇りを呼び覚まし、伝統的な技術を現代のライフスタイルに落とし込むための「新奇歓迎」の空気を生み出しました。
ビジョンという新しい風が通ることで、古い制度や慣習という名の淀みが押し流され、三百年という歴史が「信頼のブランド」という強力な透明資産の源泉として再起動したのです。
老舗企業の再生において、経営者が最初に行うべきは「社長塾」での対話です。そこで語られるべきは、先代の武勇伝ではなく、創業者が守りたかった「本当の志」の再解釈です。表面的な「やり方」の変化に抵抗するベテラン社員も、その根底にある「在り方」の尊さを再確認すれば、変化を「伝統を守るための進化」として受け入れることができるようになります。
一方で、現場の「やり方」については、若手や中途採用者が主導する「社内学校」の役割が重要になります。古い職人気質による「技は盗むもの」という不透明な教育を排し、誰でも学べる「仕組み」として体系化すること。この社内学校の運営を通じて、ベテランの技術が若手に透明に手渡されるとき、組織には「助け合い」の空気が流れ、世代間の断絶が解消されます。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査や「働きがいのある会社」ランキングのデータを見ても、歴史ある企業がウェルビーイングを向上させ、透明資産を積み増したとき、その利益率は新興企業を遥かに凌ぐ爆発力を見せることがあります。
なぜなら、彼らには一朝一夕には構築できない「社会的信用」という、すでに目に見える大きな資産があるからです。空気を入れ替えるだけで、その眠れる資産がすべて「おカネに変える力」として動き出すのです。
2026年、老舗企業に求められているのは、単なる存続ではありません。伝統という名の重厚なエンジンに、透明資産という名の最新の潤滑油を注ぎ、次元の違う加速を実現することです。歴史を守ることと、変化することは、決して矛盾しません。むしろ、変化し続けることだけが、伝統を真の意味で守り抜く唯一の道なのです。
社長、あなたの代で、歴史の鎖を未来への翼に変えませんか。重苦しい前例踏襲の空気を、新しい風が吹き抜ける挑戦の場へと変えること。それができるのは、創業者の血と想いを受け継ぎ、かつ未来を見据えることのできる、あなたしかいないのです。
淀みを恐れず、透明な心で現場と向き合い、対話を重ねる。その泥臭いプロセスこそが、百年の老舗を、次の百年のトップランナーへと脱皮させる唯一の鍵となるでしょう。
あなたの会社の歴史は、今、新しい風を感じていますか。その重みを跳躍力に変える「空気の脱皮」を、今日この瞬間から始めようではありませんか。
あなたの会社の伝統、今日はどんな新しいアイデアを支えましたか?
ー勝田耕司

