「“空気感”が経営を決める──経営者たちが語る、見えない資産の力」
こんにちは、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
数字にならないものが、会社を動かしていた
経営者として、KPI・売上・利益・成長率──
すべてを追いかけ、見える数字で意思決定してきた。
それでも、ある時ふと立ち止まる瞬間があります。
「この数字の裏にある“何か”がズレてきている気がする」
「うまくいっているはずなのに、社員の雰囲気が冷えている」
「一体感がない」「提案が出ない」「笑顔が減っている」──
その“正体不明のズレ”こそが、空気です。
そしてそれが業績の先行指標であり、組織のエネルギー源であることに、多くの経営者が気づき始めています。
空気を“意図して創る”ことが経営の本質である
「チームの空気を整えるのが、僕の仕事」──仙台育英・須江航監督
2022年、東北初の甲子園優勝を成し遂げた仙台育英高校。
この快挙の裏で注目されたのが、須江監督の「空気づくり」への徹底した姿勢でした。
彼はこう語っています。
「うまい選手をそろえるのではなく、練習よりも“空気”を整えるのが僕の仕事だと思っている」
練習中、試合中、控えベンチ──
すべての場面に「目的を持った空気」を流し込む。
選手たちは、監督の“空気の演出”によって自信と集中を育まれ、力を発揮していきました。
これは、企業経営にもそのまま重ねられる教訓です。
「“組織の空気”が業績を決める」──サイボウズ・青野慶久社長
グループウェア開発で知られるサイボウズは、
“空気を仕組みで整える”ことを経営の柱に据えています。
青野社長はこう語っています。
「組織の空気は放っておくと腐る。だから、空気の“換気”が必要なんです。
組織には“内圧”がある。言えない空気、伝わらない空気、息苦しい空気。
それらを排出する“仕組み”がなければ、組織は膨張し、いずれ破裂する」
サイボウズでは、社員全員が社内ブログで本音を書ける仕組みや、
評価面談で“感じた空気”を言語化する時間が設けられています。
この徹底した空気マネジメントが、離職率の劇的な改善と業績拡大を支えています。
「空気を変えれば、人も業績も変わる」──スターバックス創業者・ハワード・シュルツ
ハワード・シュルツがスターバックスを買収した当時、
それはただのコーヒー豆屋に過ぎませんでした。
しかし、彼が着目したのは、「空間」と「雰囲気」でした。
「人はコーヒーを買いに来るのではない。“第三の場所”を求めてやってくる。
家でも職場でもない、“心地よい空気”を提供することこそ、我々の使命だ。」
スターバックスは、香り・音楽・接客のトーン・照明に至るまで、
“空気の総合演出”を行っている企業です。
商品は模倣できても、空気は模倣できない──
これが、スターバックスの世界的成功を支える“透明資産”です。
「『空気を読む』から『空気を創る』へ」──ヤッホーブルーイング・井手直行社長
クラフトビール「よなよなエール」を展開するヤッホーブルーイング。
“おふざけ”とも思えるほどのユニークな社風の裏にあるのは、
経営陣による徹底した“空気設計”です。
「心理的安全性のない組織では、面白いアイデアは絶対に生まれない。
だから僕らは“言いたいことを言っていい空気”を徹底的につくる。
空気は読むのではなく、創るんです。」
この空気のデザインによって、社員満足度No.1を獲得し、
ビール業界で異例のファンマーケティングを成功させました。
経営における“空気資産”の3つの効果
上記のような事例を通じて明らかになるのは、
“空気”を経営資源と見なすことで得られる3つの具体的な効果です。
・共感されるブランドになる
→ 言葉や商品より、“感じがいい”という理由で選ばれる会社になる
・人が辞めなくなる
→ 空気に守られた人は、自ら育ち、会社に根づいていく
・組織が自走しはじめる
→ 指示ではなく、“雰囲気で”方向が共有される状態に
これらはいずれも、数値化は難しいが、実感として大きく作用する経営成果です。
最後に──経営者が扱うべき“空気という経営資源”
かつて、経営者は「戦略を描き」「数字をつくる人」でした。
しかしこれからは、“空気を整え、運ぶ人”であるべきです。
なぜなら、社員も顧客も、外注先も、求職者も──
判断の最後に「空気」を感じて選んでいるからです。
『透明資産』とは、空気を経営の中核に置き、
意図して設計し、仕組みとして再現し、経営に取り入れ、組織文化として育てるための考え方です。
「何となく感じがいい」ではなく、
「意図して、感じがいい」を経営に組み込む。
それこそが、これからの持続可能な成長をつくる鍵なのです。
「あなたの会社の空気は、選ばれていますか?」
この問いに、自信を持って“YES”と答えられる経営を、
『透明資産』は支援していきます。
―勝田耕司