【透明資産経営のススメ】“空気”を経営資源に変える──『透明資産』という見えない力の正体
「“空気”を経営資源に変える──『透明資産』という見えない力の正体」
こんにちは、
透明資産コンサルタントの勝田耕司です
「なぜか、社内が重たい」その正体とは?
売上は悪くない。社員の離職も少ない。
でも、何かがおかしい──そんな感覚を覚えたことはないでしょうか?
・雑談が減った
・提案が出なくなった
・朝礼の反応が薄い
・なんとなく全体が“疲れている”感じがする
こうした空気の変化は、Excelにも、会議資料にも現れません。
しかし、確実に経営の深部に影響を与えています。
この“目に見えない影響力”の正体こそ、空気です。
そして、その空気を経営に活かす仕組みが『透明資産』です。
“空気”は、経営に確実に影響している
Gallup社の「State of the Global Workplace 2023」によれば、
社員のエンゲージメント(仕事への熱意・貢献意欲)が高い企業は、
生産性が21%向上
離職率が59%低下
顧客ロイヤルティが10%以上上昇
という結果が出ています。
このエンゲージメントの要因を細かく分析すると、
“評価制度”や“賃金”以上に大きな影響を与えているのが、
職場の空気感(関係性・感情の安全性・対話の質)です。
なぜ空気は、ほっとくと悪くなるのか?
人が集まれば、空気は自動的に発生します。
問題は、その空気が“良い方向”に流れているかどうかです。
ほとんどの会社では、空気は自然発生し、
それに対しての設計も管理もなされていません。
その結果、以下のような“静かな悪化”が起こります。
・「忙しい」が合言葉になり、挨拶すら省略される
・“聞く側”が受け止める準備をしていないため、意見が出なくなる
・若手が育たないのではなく、“育つ空気”がなくなっている
・経営者が放った言葉が、“空気のフィルター”で歪んで伝わる
このような空気の劣化は、数字になって初めて気づかれます。
つまり、目に見える損失が出る頃には、すでに“空気”は崩れているのです。
「透明資産」は、空気を経営資源として扱う
『透明資産』とは、
空気を意図して設計し、仕組みによって運用し、再現可能な経営資源として扱うことです。
売上・利益・CS・ESなどの成果はすべて、
「空気の質」によって先に決まっています。
たとえば──
雰囲気の良い店舗は、なぜかリピート率が高い
提案が飛び交う部署では、新規プロジェクトが早く立ち上がる
笑顔が絶えない職場では、離職者が出にくい
これらは“空気”によって引き起こされた経営成果です。
しかし、いままでは「雰囲気の良さ」で片づけられ、
再現も仕組化もされてきませんでした。
『透明資産』は、そこに手を入れます。
『透明資産』の構成要素とは?
透明資産は、主に以下の要素から構成されています。
理念と空気の一貫性
→ パーパス・ミッション・バリューが、言葉と空気の両方で伝わっているか
日常コミュニケーションの質
→ 会議・朝礼・雑談などで“感じの良さ”“言葉の丁寧さ”があるか
心理的安全性の有無
→ 発言・提案・相談・謝罪が自然にできる場になっているか
人間関係の温度感
→ 感謝、敬意、笑いが流通しているか
意思決定や評価の空気
→ “誰が言ったか”でなく“何を言ったか”が軸になっているか
このように、“空気感”を分解し、
それぞれを言語化・測定・設計できる状態にするのが
『透明資産』構築のアプローチです。
空気の可視化=KAI(Key Atmosphere Indicator)って!?
「でも空気って、測れるんですか?」という質問をよくいただきます。
答えは、測れます。
透明資産では、KPI(業績指標)に加えて、
KAI(Key Atmosphere Indicator)=空気の重要指標を設けます。
例えば以下のようなものです。
週1回の“空気サーベイ”によるチーム温度の把握
朝礼・会議の「発言数」「感情ワード出現率」
雑談回数、ありがとう発言数などの“言葉の流通量”
“今日の空気”を感じた瞬間を社員が記録
これらはすべて、数値化でき、時系列で比較できます。
数字にならなかった“空気”を、管理可能な経営指標にする。
これが、空気を「資産」に変える第一歩です。
空気が変わると、何が変わるか?
空気が変わると、次のような“結果”が自然と生まれます。
・【採用】人が集まる会社になる
→ SNSや口コミで“空気の魅力”が伝播し、「ここで働きたい」が増える
・【定着】離職率が自然と下がる
→ 給与や待遇より、“ここで働く心地よさ”が勝る
・【生産性】自発的行動が増える
→ 「どうすれば良くなるか」を自然に考え始める空気が生まれる
・【顧客満足】接客や提案が柔らかくなる
→ 商品より“この会社がいい”という感情的理由が増える
・【数字】売上・利益があとからついてくる
→ 空気の良い組織は、自然と回転効率が上がる
これらは、“空気の設計”によって組織の自然エネルギーが高まり、
経営の摩擦損失が減ることで起きる現象です。
最後に──空気を“経営者の武器”に
経営者にとって、最も見えにくく、でも確実に影響を与えるもの。
それが“空気”です。
・社員の一言にムードが左右される
・理念が空気に乗らず、言葉だけが空回りする
・売上より先に、社内の温度が下がっている
これらに、言葉や制度で対応しても、効果は限定的です。
必要なのは、“空気を扱える経営者になること”。
『透明資産』は、空気を「仕組み」として扱えるようにする技術であり、
経営の本質に最も近い“目に見えない資産”です。
あなたの会社の空気は、いま、何色でしょうか?
その空気は、社員を動かしていますか?
それとも、知らず知らずのうちに、止めてしまってはいませんか?
空気は創れる。
空気は動かせる。
そして、空気は資産になる。
それが『透明資産』経営の真髄です。
―勝田耕司