【透明資産経営のススメ】空気で差がつく──スターバックスが提供している本当の商品とは?
空気で差がつく──スターバックスが提供している本当の商品とは?
こんにちは!
透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
私の提唱する『透明資産』を取り入れた経営でモデルとなる企業の1つに、
スターバックスコーヒーを挙げています。
スターバックスで私たちが買っているもの
あなたがスターバックスの店舗に入ったとき、
注文するのはコーヒーかもしれません。
けれど、あなたが本当に“買っている”ものは、コーヒーでしょうか?
温かく迎えられる雰囲気
周囲とほどよい距離の保たれた空間
気取らず、でもどこか洗練された空気
「どうぞゆっくり」と言ってもらえる余白
──実はこれこそが、スターバックスの「商品」であり、
その商品は“空気”という目に見えない存在でできています。
そしてこの空気こそ、
企業が未来に向かって設計すべき経営の仕組み──『透明資産』に他なりません。
「サードプレイス」の思想とは、“空気の提供”である
スターバックス創業者ハワード・シュルツが提唱した「サードプレイス(第三の場所)」という概念は有名です。
家庭(ファーストプレイス)でもなく、職場(セカンドプレイス)でもない、
“心地よく過ごせる場所”をつくるという哲学です。
しかし、その本質は空間ではありません。
「この場にいてもいいんだ」と思わせる空気感の提供にあります。
席に長く居てもいい
一人でも気まずくない
隣の会話も気にならない程度のBGM
自分だけの時間が流れている感覚
つまり、スターバックスが創っているのは、物理的なスペースではなく“安心して存在できる空気”です。
これは、単なるホスピタリティではなく、空気を経営に取り入れている明確な証拠です。
空気が“商品価値”を決めている
価格帯を見ると、スターバックスのコーヒーは決して安くありません。
コンビニの100円コーヒーが市場を席巻してもなお、
スターバックスには“わざわざそこに行く理由”があります。
それが、“空気の魅力”です。
店員のちょっとした声かけ
商品名ではなく“あなたのお名前で”呼ばれる接客
レジ前のさりげない会話や提案
これらは商品でも広告でもありません。
すべて、「空気の中に仕組まれた価値」なのです。
価格を超えて選ばれるブランドとは、
“空気”を設計し、それを体験に変えているブランドだといえます。
空気は、偶然ではなく“設計”されている
スターバックスの空気は、自然発生しているのではありません。
本社から店舗まで、すべての接点において空気が意図して設計・維持されているのです。
たとえば──
BGMの音量は70〜75dBの範囲に設定
香りを邪魔しないように、フードは目立たせすぎない
メニューのフォント、トーン、コピーにも“安心感”の統一
エプロンやポジショニング(位置取り)にも“空間演出”の思想がある
これは「店舗デザイン」の話ではありません。
「空気のエンジニアリング」です。
つまり、“いい感じの空気”は仕組みで再現されているということ。
ここに、『透明資産』経営の思想がそのまま貫かれているのです。
『透明資産』とは、空気を意図的に経営に活かす仕組みである
『透明資産』とは、目に見えない空気感を
言語化・設計・運用・再現するための経営フレームです。
スターバックスは、この仕組みを完璧に実行しているモデル企業といえます。
たとえば──
スターバックスの施策 | 『透明資産』の構成要素 |
ミッションと空気感の一致 | 経営理念と空気の一貫性 |
「第三の場所」の演出 | 存在承認と安全な空間の提供 |
接客の“温度”の再現性 | 社員教育による“空気の担い手”育成 |
店舗ごとの雰囲気の統一 | 空気の再現フロー・言語と振る舞いの標準化 |
つまり、スターバックスは『透明資産』を、
「商品価値」ではなく「企業価値」そのものとして活用している企業なのです。
空気が整えば、売上も人も“自然と動く”
『透明資産』経営では、「空気が結果を決める」という考え方が中心にあります。
スターバックスがリピート率や採用力、離職率の低さ、店舗の収益性で
圧倒的な成果を上げているのは、目に見えない資産=空気が整っているからです。
この状態は、数字のKPIでは見えませんが、
「数字の前に空気が変わる」という順番を証明しています。
最後に──あなたの会社の“空気”は、設計されていますか?
コーヒーの味ではなく、“空気”を売っているスターバックス。
その空気は、創業者の思想から始まり、社員教育・空間設計・オペレーションに至るまで
一貫して“感じのいい”を再現する仕組み=透明資産に貫かれています。
そして、それはどんな業種・規模の企業でも取り入れることができます。
『透明資産』は、スターバックスのように──
空気を資産と見なし、それを整えることで、人も顧客も、数字も動かす経営法です。
ぜひ一度、あなたの会社の“空気”がどうなっているか、
そしてそれを設計・運用する準備があるか、立ち止まってみませんか。
―勝田耕司