「空気でチームが負ける──サッカーU23日本代表から学ぶ、見えない資産の威力」
こんにちは!
透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
「空気」で負けた試合
2024年6月、パリ五輪アジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップ。
日本代表は準決勝でウズベキスタンに0-2で敗れました。
技術でもフィジカルでも、決して引けを取らないはずのチームが、なぜ完敗したのか。
識者やメディアの多くは「戦術ミス」や「選手交代のタイミング」などを指摘しました。
しかし、現場で長年“空気”を読んできた者からすれば、もっと根深い原因が見えました。
──チーム内に、見えない「よどみ」があったのです。
これは、技術や戦術とは別のレイヤー。
選手たちの視線の先がバラバラで、声も少なく、ベンチからのエネルギーも感じない。
空気が、重かった。
そして、これは決してスポーツの世界だけの話ではありません。
会社でも「空気」は結果を決める
企業組織においても、まったく同じことが起きています。
売上は悪くない。離職率も下がっている。だが──なぜか、チームがバラバラに感じる。
社員のモチベーションが「数値目標」だけに向いているとき。
経営者の言葉が、なぜか伝わっていないと感じるとき。
それはたいてい、「空気の質」が低下しているサインです。
私が定義する『透明資産』とは、まさにこの“空気感”を設計・運用する経営資源です。
財務諸表にも載らず、棚卸もできない──けれど、確実に「業績に影響する力」。
空気を変えると、数字が変わる
Gallup社の調査では、エンゲージメントの高い組織は、
生産性が約20%向上し、離職率は59%も低下するというデータがあります。
これは、「空気」が良い職場の成果です。
実際、私が支援してきたクライアントでも、
・売上の前年比130%アップ(外食チェーンA社)
・離職率が半年で1/3に改善(物流業B社)
・クレームが半減し、顧客満足スコアが15pt向上(サービス業C社)
といった実績があります。
これらの成果は、広告でも営業強化でもなく、
「空気を変える」という〝目に見えない改革〟によって生まれました。
なぜ「空気」は、放っておくと悪くなるのか?
人の感情・行動・態度は、常に“場の影響”を受けています。
たとえば、社長が忙しくて機嫌が悪いだけで、社内の会話は少なくなり、
ちょっとした提案も、「やめとこうかな」と自粛されてしまう。
この〝見えない圧〟こそが、「空気」の正体です。
空気は、勝手に良くなりません。
放っておくと、必ず“個の分断”が進み、組織の一体感は薄れていきます。
だからこそ、経営として意図的に設計する必要があるのです。
社長が空気の設計者になる時代
かつては「空気を読む力」が重宝されていました。
しかし、今は違います。
空気は、“読むもの”ではなく“つくるもの”です。
社長が明確な価値観を言葉にし、
行動で示し、組織に浸透させていく。
このプロセスを「透明資産の設計」と呼んでいます。
パーパス、ミッション、バリュー……言葉で終わらせては意味がない。
日々の会話や判断、行動に「にじませる」ことで、
組織の空気が変わっていくのです。
「空気の温度」を感じる習慣を
あなたの会社の会議室に、温度計はありますか?
空調の温度は管理できても、「空気の温度」は誰も測っていない。
・話しやすい雰囲気か
・自分の意見を言えるか
・他部署との協力が自然に起きているか
これらはすべて、組織の「空気温度」を示すバロメーターです。
毎朝、会社の“空気”を感じてみてください。
昨日より少し冷えていませんか?それとも、温まっていますか?
スポーツ、社会、企業に共通する「空気の力」
最近では、甲子園の強豪校・仙台育英高校が、空気づくりに成功したチームづくりとして
NHKスペシャルにも取り上げられました。
監督の言葉はこうです。
「練習よりも、まず“空気”を整えるのが僕の仕事」
これは、まさに経営者の役割と同じです。
技術やノウハウは大切。でも、それだけでは勝てない。
なぜなら、組織とは“人の集まり”だからです。
その人たちが、気持ちよく動ける“場”を整えること。
それが、成果を引き寄せる「見えない資産」なのです。
最後に
『透明資産』とは、空気を読み解き、設計し、活かす経営の仕組みのこと。
数字がすべてに見える時代だからこそ、
数字に“ならないもの”に目を向ける経営者が、未来を拓きます。
会社の雰囲気は、偶然ではありません。
すべては「つくれる」のです。
あなたの会社は、どんな空気をまとっていますか?