『透明資産』経営のススメ【透明資産経営のススメ】滑走路を真似ても、飛行機は降りてこない――「形」だけ真似る経営の罠

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。

―椰子の木で作った、滑走路と管制塔

物理学者リチャード・ファインマンが、1974年の講演で語った、忘れがたい話があります。南太平洋の島々で、戦争中、島民たちは、飛行機が、たくさんの物資を積んで、降りてくるのを、見ました。戦争が終わり、物資が来なくなると、彼らは、同じことが、また起きてほしいと願い、飛行機を呼び戻そうとしました。

彼らは、滑走路のようなものを作り、その両脇で火を焚き、木で小屋を建て、そこに一人を座らせ、頭に木彫りのヘッドホンをつけ、竹のアンテナを立てさせた——管制官のつもりです。そして、飛行機が降りてくるのを、待った。すべて、正しくやっている。形は、完璧。かつて見た通りに、見える。けれど——飛行機は、降りてきません。ファインマンは、これを「カーゴ・カルト(積荷信仰)」と呼びました。彼らは、飛行機を降ろした「本当の仕組み」を理解せず、目に見える「形」だけを、真似ていたのです。今日は、あなたの会社が、成功企業の「形」だけを真似て、飛行機を待っていないか、という話をします。

―「形」を真似ても、「本質」がなければ、飛行機は降りない

ここに、透明資産経営の、痛烈な教訓があります。あなたは、成功している会社の、目に見える「やり方」を、真似ていないでしょうか。オープンなオフィス。目標管理の横文字の手法。「早く失敗せよ」というスローガン。卓球台。立派な「企業文化」の資料。毎朝の立ち会議。「うちは家族だ」という言葉。成功企業がそれをやっているのを見て、真似れば、同じ「積荷」——彼らの成果や文化——が、降りてくると、期待して。

けれど、あなたは、「形」を真似て、「本質」——それらの慣行を、その会社で機能させていた、根底のリアリティ——を、真似ていない。だから、飛行機は、降りてこない。あなたは、偉大な文化の「儀式」だけを手にして、文化そのものを、手にできていない。竹のアンテナを立てて、待っているのです。空気を設計するとは、憧れの会社の、目に見える慣行を、コピーすることでは、ありません。その慣行が、なぜ機能したのか、その「本質」を理解し、本質のほうを、設計することなのです。

さあ、あなたの会社が、最近取り入れた「良さそうなやり方」を、思い浮かべてください。それは、どこかの成功事例で見て、「うちも」と真似たものではないでしょうか。オープンなオフィスにしたのに、なぜか対話が増えない。「心理的安全性」と唱えているのに、誰も本音を言わない。「1on1」を制度化したのに、部下は心を開かない。「失敗を歓迎する」と貼り出したのに、誰も挑戦しない。——それは、あなたが、その慣行の「形」だけを移植し、それを機能させる「本質」(本物の信頼、時間、上司自身の姿勢)を、置き去りにしたから、です。あなたは、滑走路を作り、火を焚き、飛行機を、待っている。

だから、真似る前に、問うてください。「この会社で、なぜ、これは機能したのか」と。その「なぜ」——根底のリアリティ——を理解し、それを、あなたの会社の文脈で、設計するのです。他社が卓球台で活気づいたなら、卓球台をコピーするのではなく、「なぜ活気づいたのか(本当は、垣根なく交わる空気があったから)」を見抜き、その空気を、あなたのやり方で、設計する。想像してみてください。あなたが、形の模倣をやめ、本質を設計し始めたとき——ついに、あなたの滑走路に、本物の飛行機が、降りてくる様子を。

形は、真似られます。けれど、飛行機を降ろすのは、形ではなく、本質です。だから、成功企業の目に見える慣行を、そのままコピーして、待つのを、やめてください。なぜそれが機能したのか、その本質を理解し、本質を、設計するのです。竹のアンテナを、いくら精巧に作っても、飛行機は、降りてこないのですから。

―勝田耕司