『透明資産』経営のススメ【透明資産経営のススメ】女性活躍・ダイバーシティの「真実」――「数」を揃える経営から、異質な「空気」を混ぜる経営へ


こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。

透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。

経営者の皆様、貴社の「ダイバーシティ(多様性)」への取り組みは、どこか「義務感」になってはいないでしょうか。女性管理職の比率を何%にする、外国籍の社員を何名採用する。こうした数値目標を追いかけ、制度を整えること自体は間違いではありません。しかし、肝心の「現場の空気」はどうでしょうか。

異質な存在が入ってきたときに、無意識に「これまでのやり方」を強要したり、表面的な配慮だけで本質的な対話を避けていたりしないでしょうか。もしそうなら、そのダイバーシティは「透明なコスト」でしかありません。数だけを揃えても、空気が「同質性」を求めている限り、異質な才能は化学反応を起こす前に窒息し、組織を去っていくからです。

透明資産経営におけるダイバーシティの真実とは、属性の数を揃えることではなく、異質な「空気」をあえて混ぜ合わせ、そこから生まれる「違和感」を創造性のエネルギーに変換することです。多様性とは、心地よいものではありません。自分とは異なる価値観や、理解しがたい視点と向き合う「痛み」を伴うものです。しかし、その痛みを乗り越えて「新奇歓迎(新)」の空気を醸成できた組織だけが、2026年の複雑な市場において、誰にも真似できない独自性を生み出すことができるのです。

ボストン コンサルティング グループ(BCG)の研究によれば、管理職の多様性が高い企業は、そうでない企業に比べてイノベーションによる収益が19%も高いことが示されています。この収益の差を生んでいるのは、単なる「属性」ではなく、異なる視点がぶつかり合うことで、組織の「盲点」が透明化され、新しい解決策が生まれるプロセスにあります。

この「異質な空気の融合」を経営の根幹に据えているのが、資生堂の事例です。彼らは単に女性管理職を増やすだけでなく、リーダーシップのあり方そのものを多様化させることに挑んでいます。かつての強力なトップダウン型の空気から、共感や対話を重視する「しなやかな空気」への変革。資生堂が目指しているのは、性別に関わらず、一人ひとりが自分の個性を「透明な強み」として発揮できる土壌づくりです。この空気の変革こそが、グローバル市場におけるブランドの再構築を支える透明資産となっています。

また、ビジネスニュースメディアを運営するユーザベースの変革も、ダイバーシティの神髄を示しています。彼らには「自由主義で行こう」という強いバリューがありますが、それは単に自由奔放であることを意味しません。異質な才能が集まる中で、お互いの「違い」を徹底的に尊重し、同時に「責任」を果たすという、極めて透明度の高い空気が共有されています。ユーザベースにおいては、意見の対立は「排除」の対象ではなく、価値を磨くための「歓迎すべきプロセス」です。この空気が、変化の速いテック業界において、常に先鋭的なサービスを生み出し続ける源泉となっています。

デロイト トウシュ トーマツが行った調査(「ダイバーシティ&インクルージョンの価値」)でも、インクルーシブ(包摂的)な文化を持つ組織は、そうでない組織に比べて「目標達成の可能性が2倍」「高パフォーマンスを達成する可能性が3倍」というデータが出ています。ここで重要なのは、多様な人が「いる」だけでなく、その多様性が「活かされている」という実感です。この実感こそが、透明資産としての「心理的安全性」を最大化させるのです。

ダイバーシティを「お飾り」にしないために、経営者は「社長塾」で、なぜ多様性が必要なのかという「在り方」を、自身の言葉で語らなければなりません。「社会の流れだから」という消極的な理由ではなく、「我々がより良い未来を創るために、あなたの『異質さ』が必要なのだ」という、一人ひとりの存在を肯定する透明なメッセージです。社長が「自分の知らない視点」を歓迎する姿勢を見せることで、組織の空気は「正解の押し付け」から「発見の愉しみ」へと変わります。

そして「社内学校」では、各部門の先輩社員が「異質なメンバーと協働して、どう壁を乗り越えたか」という泥臭い成功体験を語り継ぐべきです。多様性は、マニュアルでは運用できません。異なる価値観を持つ相手とどう「間合い」を詰め、どう「助け合い」の空気を創ったか。その実戦的な知恵を共有することこそが、社内学校の真の役割となります。

2026年、世界はますます分断と複雑化が進んでいます。そんな時代に、単一の価値観だけで動く組織は、変化という波に簡単に飲み込まれてしまいます。異なる色が混ざり合い、新しい色が生まれる。その「空気の彩度」が高い組織こそが、次世代のリーダー企業となるのです。

社長、数値を追う前に、一度会議室を見渡してください。そこには「予定調和の空気」が流れていないでしょうか。異論を唱える者の声を、無意識に封じ込めていないでしょうか。 ダイバーシティとは、あなた自身の「器」を広げる挑戦でもあります。あなたが異質な空気を面白がり、その透明な摩擦を楽しめるようになったとき、あなたの会社は、どんな市場の荒波も乗り越えていく「しなやかで強靭な生命体」へと進化するはずです。

数ではなく、心を混ぜる。属性ではなく、才能を響かせ合う。 その透明なダイバーシティが、あなたの会社を唯一無二の存在へと導きます。

あなたの会社の空気は、今日、どんな「新しい視点」を抱きしめましたか?

ー勝田耕司