こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。
―「顔を合わせるだけ」では、憎しみは消えなかった
1954年、心理学者ムザファー・シェリフが、有名な実験を行いました。22人の少年を、サマーキャンプに集め、二つの集団(ガラガラヘビ団とワシ団)に分ける。そして、両者を、綱引きや野球で競わせた。すると——わずか数日で、少年たちの間に、本物の敵意が芽生えました。悪口、小競り合い、喧嘩。
さて、この憎しみを、どう解消するか。研究者はまず、単純な手を試しました。両集団を、ただ「一緒に過ごさせる(接触させる)」。食事も、映画も、一緒に。——ところが、これは、失敗しました。少年たちは、顔を合わせるたびに、いがみ合ったのです。今日は、あなたの会社の、仲の悪い部署が、なぜ、どれだけ交流会を開いても、仲直りしないのか——そして、それを本当に束ねる、たった一つの設計の話を、お伝えします。
―憎しみは「構造」から生まれ、「共通の目標」でしか、解けない
では、何が、憎しみを解いたのか。「上位目標(スーペルオーディネイト・ゴール)」——どちらの集団も、単独では達成できない、大きすぎる目標です。研究者は、キャンプの「水道が壊れた」ことにしました。両集団とも、喉が渇いて仕方がない。だから、協力して、水道を直すしかない。次に、食料を運ぶトラックが「故障した」ことにした。両集団で、力を合わせて、引くしかない。こうして、単独では達成できない目標のために、協力を繰り返すうちに——敵意は、溶けていったのです。少年たちは、最後には、同じバスで一緒に帰ることを選び、賞金を分け合いました。
シェリフは、こう結論づけます。集団間の対立は、個人の性格からではなく、「構造」——資源をめぐる競争——から、生まれる。そして、それを解くのも、「構造」——協力を強いる、共通の目標——だ、と。単なる接触では、解けない。共通の目標だけが、解く。(正直に申し添えれば、この実験は、研究者による演出が多かったことが、後に指摘されています。それでも、「接触だけでは失敗し、上位目標は成功する」という二つの教訓は、揺らいでいません。)そして、この理論の核心は、こうです。「設計者は、性格ではなく、構造を、支配できる」。
ここに、透明資産経営の設計原理があります。あなたには、いがみ合う部署が、あるでしょう。営業と製造。あの部門と、この部門。古参と、新参。そして、あなたは、誰もがやるやり方で、直そうとする。説教(「我々は、一つのチームだ!」)、無理やりの接触(合宿、懇親会、チームビルディングの日)。それは、失敗します。あの少年たちのように、単なる接触は、構造に根ざした憎しみを、解かないからです。その憎しみは、悪い人間のせいでは、ない。両者が競い合う「構造」(資源、手柄、対立する評価指標をめぐって)のせいなのです。そして、構造の問題を、説教で、解くことは、できません。効くのは、「上位目標」を設計すること——どちらの部署も、単独では達成できないほど、大きく、共有された目標を築き、協力しなければ生き残れないように、構造を組むこと。団結は、説くものではない。協力を、唯一の前進の道にする「共通の目標」を築くことで、設計するものなのです。
さあ、あなたのサイロ(縦割り)を、見てください。あなたは、それを、スピーチとチームビルディングで直そうとし、どの合宿の後も、憎しみが生き延びるのを、見てきたのではないでしょうか。それが、泥棒洞窟です——上位目標なき、接触。そして、もっと深く見てください。あなたは、両者を対立させる「構造」を、設計していないでしょうか。営業は売上で、製造はコストで評価され、各部門が同じ予算や手柄を奪い合い、指標が互いに衝突する。だとしたら、あなたが、その戦争を、製造したのです。そして、どんな「みんな仲良く」も、それを終わらせない。構造が、それを、再点火し続けるのですから。あなたは、構造の対立を、心構えの問題として、扱っているのです。
だから、「上位目標」を、設計してください。いがみ合う部署に、どちらも単独では届かない、大きく、死活的に重要な、共有された目標を与える——あるお客様の成果、会社の存続をかけた目標、両者を必要とするプロジェクトを——そして、彼らの成功が、本当に「一蓮托生」になるように(共有の指標、共有の報酬、共有の運命として)、構造を組む。両者を対立させている構造(衝突する評価)を、直す。両方が必要とする目標への、唯一の道を、協力にする。想像してみてください。あなたのサイロが、溶けていく様子を。あなたが、仲良くなれと説教したからではなく、二人でしか登れない山を、設計したから、です。
いがみ合う集団を、説教で、和解させることは、できません。チームビルディングの日で、強いることも、できない。構造に根ざした憎しみは、構造にしか、屈しない。だから、サイロに説教するのを、やめて、上位目標を——どちらも単独では届かない、共有された頂を——設計してください。団結は、あなたが宣言する「価値観」では、ない。互いを必要としなければ登れない、あなたが設計する「目標」なのです。
―勝田耕司