『透明資産』経営のススメ【透明資産経営のススメ】パフォーマンスとエンゲージメントを高める「空気感」~社長塾と社内学校が醸成する企業文化の真髄

パフォーマンスとエンゲージメントを高める「空気感」~社長塾と社内学校が醸成する企業文化の真髄

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。


企業が目指すべきは、単に高い業績を上げることだけではありません。社員一人ひとりが最大限の能力を発揮し、仕事に喜びと意味を見出し、組織に深くコミットする、そんな理想的な「空気感」を社内に醸成することこそが、持続的な成長の鍵を握ります。この「空気感」は、数値では測れないものですが、業績に影響する仕組みとして意図的につくり出し運用することが可能です。このように「空気感」を意図的につくり出す仕組みは、透明資産とよび5つの構造からつくられています。その1つ。社長が直接理念を伝える「社長塾」と、現場のリーダーたちが実践的なノウハウを教える「社内学校」という二つの学びの場が、有機的に連携することで育まれます。


社長塾で語られる企業の「あり方」が社員の心に火を灯し、社内学校で学ぶ「やり方」がその火を具体的な行動へと繋げる。この一連のプロセスの中で、社員のパフォーマンスとエンゲージメントが自然と高まるような、唯一無二の企業文化が形成されていくのです。今日は、この特別な「空気感」をどのように生み出すか、その核となるポイントについて解説します。


1.「目的の共有」が織りなす一体感、なぜ、私たちはここにいるのか?


社員のパフォーマンスとエンゲージメントを高める「空気感」の根幹には、組織全体で目的の共有が深く根付いていることがあります。社長塾では、社長自らが企業の創業の精神、社会における存在意義、そして目指すべき未来のビジョンを熱く語ります。この「なぜ私たちはここにいるのか?」という問いに対する明確な答えが、社員一人ひとりの心に響くことで、彼らは単なる業務の遂行者ではなく、共通の志を持つ仲間としての意識を強く持つようになります。


この目的意識は、社員が日々の業務に意味を見出し、困難に直面した際にも「何のために?」という軸で考え、行動する原動力となります。社内学校では、各部門のリーダーが、社長塾で語られた理念が、それぞれの業務においてどのように具現化されるべきかを具体的に示します。例えば、「お客様に最高の価値を提供する」という社長の言葉が、現場での「細部にまでこだわる品質チェック」や「期待を超える提案」といった具体的な行動へと繋がるのです。

これにより、社員は自分の仕事が企業全体の大きな目的に貢献していることを実感し、その達成感と連帯感が、組織全体にポジティブな一体感という「空気感」を醸成します。この共通の目的意識こそが、社員のパフォーマンスを引き上げ、エンゲージメントを深めるための土台となるのです。


2.「成長への投資」が育む安心感と挑戦意欲、そして学びが拓く未来とは?


社員が「この会社で成長できる!」という確信を持てる環境は、パフォーマンスとエンゲージメントを高める上で不可欠な「空気感」を生み出します。社長塾が社員の人間的な成長を促し、社内学校が具体的なスキルアップの機会を提供することで、企業は社員に対し、明確な成長への投資を示します。この投資は、社員に会社が自分を大切にしているという安心感、信頼感を与え、新たな知識や技術の習得に対する挑戦意欲を刺激します。

社内講師による現場に即した実践的な学びは、社員が自身の業務能力を向上させるだけでなく、自身のキャリアパスを具体的に描く手助けとなります。

例えば、新入社員は短期間で業務に必要なスキルを体系的に学び、中堅社員は専門性を深めたり、新たな分野に挑戦する機会を得たりすることができます。この継続的な学びの機会が、社員の自己効力感を高め、「もっと貢献したい」という内発的なモチベーションを引き出します。また、失敗を恐れずに挑戦できる心理的な安全性も生まれます。

なぜなら、学びの場が提供されていることで、仮に失敗してもそれが成長の糧となるというポジティブなサイクルが社員の間に浸透するからです。このような学びと成長を尊重する空気感は、社員が自身の能力を最大限に発揮し、エンゲージメントを深めるための強力な推進力となるのです。

3.「信頼と透明性」が支える心理的安全性、開かれた対話の場とは?


社員が安心して意見を表明し、困難な状況でも助けを求めることができる心理的安全性は、パフォーマンスとエンゲージメントを向上させる「空気感」の重要な要素です。社長塾では、社長が自身の成功だけでなく、失敗や葛藤、経営上の課題を包み隠さず語ることで、社員との間に人間的な信頼関係を築きます。この社長のオープンな姿勢が、社内全体の信頼と透明性を重んじる文化の基礎となります。

社内学校では、社内講師が一方的に教えるだけでなく、受講生からの質問や意見、現場の具体的な課題を積極的に受け入れ、議論を促すことで、さらにこの心理的安全性を強化します。例えば、講師が自身の失敗談を共有し、「あの時、もっとこうすれば良かった」と率直に語ることで、社員は「失敗しても学びがある」と感じ、萎縮することなく自らの考えを共有したり、助けを求めたりできるようになります。

このような開かれた対話の場が日常的に存在することで、社員は「自分は受け入れられている」と感じ、安心して業務に集中し、創造性を発揮できるようになります。この心理的安全性が高く、信頼に基づいた空気感こそが、社員の自律性とパフォーマンスを最大化し、企業へのエンゲージメントを深める源となるのです。


4.「貢献の実感」がもたらす達成感、仕事が喜びになる循環とは?


社員のパフォーマンスとエンゲージメントは、自身が組織や顧客、社会に貢献しているという実感をどれだけ持てるかに大きく左右されます。社長塾では、社長が企業の事業が社会に与えるポジティブな影響や、お客様にもたらす価値について具体的に語ることで、社員は自身の仕事が単なる業務を超えた意味を持っていることを深く認識します。この大きな視点が、日々の業務へのモチベーションを高めます。


社内学校では、各事業部のリーダーが、自身の業務がお客様や他の部門にどのように貢献しているか、具体的な成功事例やお客様からの感謝の声を交えながら伝えます。これにより、社員は自分のスキルや努力が、実際にどのような形で組織全体や外部に役立っているのかを明確に理解できます。例えば、ある製造業の社内学校で、技術者が「自分の開発した部品が、お客様の最終製品の性能を飛躍的に向上させた」という話を聞くことで、ラインで働く社員も自身の作業がそのお客様の喜びに直結していることを実感できます。

このような貢献の実感が得られる空気感は、社員に深い達成感と誇りをもたらし、仕事そのものを喜びへと変える力を持っています。この喜びが、さらなるパフォーマンス向上とエンゲージメントの深化へと繋がる好循環を生み出すのです。


5.「一体感と連帯感」が創り出す強固な絆こそ、共に未来を築く仲間意識

社長塾と社内学校は、社員間に一体感と連帯感という強固な絆を創り出し、これが企業全体のパフォーマンスとエンゲージメントを支える特別な「空気感」となります。社長塾で共通の理念を分かち合うことで、社員は部署や役職を超えて同じ船に乗る仲間としての意識を育みます。社長の言葉が、社員の心のベクトルを同じ方向へと揃える羅針盤となるのです。


社内学校では、異なる部門の社員が共に学び、議論し、時には助け合う中で、互いの専門性を理解し、尊重する気持ちが育まれます。社内講師として教えるリーダーたちも、自身の知識を惜しみなく共有し、後輩の成長を願う姿勢を示すことで、組織全体に助け合い、高め合うという文化が浸透します。例えば、あるサービス業の社内学校で、フロント業務の社員がバックオフィス業務の社員から日々の業務プロセスを学ぶことで、互いの苦労や重要性を理解し、よりスムーズな連携が生まれることがあります。

このような部署の壁を越えた連帯感は、組織の課題解決能力を高め、変化への適応力を強化します。社員が自分は一人ではない、共に困難を乗り越える仲間がいると感じられる「空気感」は、エンゲージメントを最大化し、企業全体のパフォーマンスを飛躍的に向上させる、かけがえのない透明資産を形成する仕組み運用となるのです。


社長塾と社内学校は、単なる知識やスキルの伝達機関ではありません。それらは、企業の目的の共有し、社員の成長への投資、信頼と透明性、貢献の実感、そして一体感と連帯感という5つの透明資産の源泉を育てることで、社員のパフォーマンスとエンゲージメントを自然と高める「空気感」を醸成し昇華させます。この特別な「空気感」こそが、企業が未来へ向かって力強く前進するための、最も重要な透明資産となるのです。

―勝田耕司