『透明資産』経営のススメ【透明資産経営のススメ】“なんとなくやっている会社”から抜け出す──空気に目的を宿す経営

「“なんとなくやっている会社”から抜け出す──空気に目的を宿す経営」

 

こんにちは、

透明資産コンサルタントの勝田耕司です。

 

 

「なぜやっているのか」が語られない組織

「とりあえずやっている」

「今までもそうだったから続けている」

「目標はあるけど、何のために達成するのかは特に…」

 

こんな空気が、あなたの会社やチームに漂ってはいないですか?

 

成果も出ているし、社員もまじめに働いている。

でも、なぜか活気がない。前向きな声が聞こえない。

それは、空気から“目的”が抜け落ちているサインです。

 

目的を失った組織は、徐々に“やらされ感”に支配される

「なんとなくやっている」状態が続くと、

そこに漂う空気は、次のように変化していきます。

 

会議に熱がこもらない

 

新しい提案が出にくい

 

形式的な業務が増える

 

指示待ち・反応待ちが当たり前になる

 

成果が出ても、喜びが小さい

 

このような“無風のような空気”こそ、組織にとっての慢性疲労の元凶です。

 

「空気に目的が宿っている会社」の特徴

一方、空気に“意図”が宿っている会社には、次のような特徴があります。

 

◎行動の背景に“意味”がある

 

「なぜそれをするのか」が現場で語られている

 

目的に立ち返って優先順位を見直せる

 

迷ったときに“原点”がある

 

◎言葉と空気に一貫性がある

 

掲げている理念と、日々の会話や判断がつながっている

 

目標数字より、“その向こうにある目的”が語られている

 

◎“やらされ感”より“納得感”が漂う

 

「やれ」ではなく、「なぜやるのか」「どこを目指すのか」が共有されている

 

だからこそ、自分で考え、動く人が増える

 

つまり、“空気の中に目的が流れている”のです。

 

目的が空気に宿る瞬間とは?

目的とは、紙に書くだけでは伝わりません。

語っただけでも、空気にはなりません。

 

目的が空気として“定着”するためには、3つの条件があります。

 

① トップが“語り続ける”

 

一度語っただけでは、空気にはなりません。

“言い古された”くらいがちょうどいいのです。

 

朝礼で

 

会議で

 

1on1で

 

社外の講演で語った内容を社内でも共有する

 

トップが語る“目的の温度”が、空気の温度を決めるのです。

 

② 現場で“目的を感じる体験”がある

 

言葉よりも、“実感”です。

 

お客様からの感謝の言葉を共有する

 

ある判断が、会社の存在目的に沿っていたことをフィードバックする

 

新人が「この仕事、意味あるな」と思える経験をつくる

 

空気は、体験から育つ。

目的は、“感じた瞬間”に空気に変わるのです。

 

③ チームで“目的の再確認”をする習慣がある

 

「これ、何のためにやっているんだっけ?」と立ち止まる

 

目標数字に対して「この先にある価値は何か?」を問う

 

目的から逆算して優先順位を変える

 

目的を“言語化しなおす場”があること。

それが空気に定着する鍵です。

 

<事例>空気に目的を宿して変わった企業

①製造業J社(社員数110名)

 

部署間の連携が取れず、社内の空気がバラバラ。

現場では「うちの仕事は誰かのためになっているのか?」という虚無感が広がっていた。

 

そこで行ったのは、目的共有の空気設計。

 

全社員で“わたしたちが存在する意味”を再定義するワークショップを開催

 

各部署の「自分たちの仕事が誰の何に役立っているか」を可視化

 

週報に「目的を感じた瞬間」の記入欄を追加

 

3ヶ月後、社内アンケートで「自分の仕事に誇りを持っている」割合が28%→72%に増加。

 

②医療法人Kグループ

 

医師・看護師・事務が分断していた職場。

“役割をこなすだけ”の空気感を打破するために、以下を実施。

 

各職種が“この職場で果たす使命”を語り合う「リレー対話」

 

スタッフ紹介カードに「私がこの仕事をしている理由」を明記

 

毎月1回、「この1ヶ月で感じた“原点”」を発表する場を設ける

 

結果、患者満足度のスコアだけでなく、離職率も大きく改善。

「空気が、やさしくなった」とスタッフ自身がコメント。

 

空気に目的が宿ると、組織は動き出す

目的が空気に浸透している組織は、以下のような変化が起きます。

 

指示がなくても“やるべきこと”が自発的に動き出す

 

業務改善の提案が増える

 

売上が目標ではなく“結果”として現れる

 

忙しさに流されることが減る

 

つまり、空気に“方向”がある組織は、無駄なエネルギーが要らないのです。

 

最後に──空気は、目的によって生きる

空気とは、“見えないけれど確かにある場のエネルギー”。

そしてその空気が「何のために流れているか」がわかっている組織は、強い。

 

『透明資産』とは、空気に目的を宿し、継続的に循環させる経営資産です。

 

あなたの会社の空気は、何を目指して流れていますか?

“なんとなくやっている”から脱却する第一歩は、

空気に、目的を宿すことから始まります。

 

 

―勝田耕司