「なぜあの会社は辞めないのか?──離職率を下げる『空気』の経営」
こんにちは!
透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
「人が続く会社」と「すぐ辞める会社」の違い
「うちは人が定着しなくて困ってるんです」
「入社しても1年以内に辞めてしまう」
こんな相談を受けることが、私は少なくありません。
逆に、こんな会社もあります。
「社員が10年、20年とずっと働いてくれてます」
「新卒が辞めない会社だと、学生の間でも話題になるそうです」
この違いはどこからくるのか?
待遇か?福利厚生か?研修制度か?
もちろん、それらも影響はあります。
しかし、**一番の違いは「空気」です。
「空気の質」が、人を留まらせる
人は、どこで働くかよりも、「どんな空気の中で働くか」でその行動を決めます。
実際、2024年に行われたIndeed Japanの調査によれば、
20代~40代の転職理由の上位には以下の項目が並びました。
・ 職場の人間関係が悪かった(45.7%)
・ 組織の雰囲気が合わなかった(36.8%)
・ 自分の意見が通らない・聞いてもらえない(31.2%)
すべて、「空気」に起因しています。
給料が高くても、空気が悪ければ人は辞めるのです。
「空気がいい会社」には3つの共通点がある
私がこれまで支援してきた中で、離職率が極めて低い企業には、
明確な共通点がありました。
それは以下の3つです。
① 「ありがとう」が日常的に飛び交っている
感謝の言葉は、組織の潤滑油。
形式的ではなく、自然と「ありがとう」が飛び交う組織は、
人間関係が良好で、心理的安全性が高い状態です。
② 小さなことを“ちゃんと”評価する
目に見える成果だけでなく、
「気づいて声をかけてくれた」「黙って片づけてくれてた」
といった“見えない貢献”に対しても評価する風土があります。
この“承認の空気”が、社員の自己肯定感を育てるのです。
③ 社長が“空気”を感じて動いている
「最近、会社の空気が少し重いな」
「○○さん、元気がない気がする」
そんな“場の異変”に敏感な社長がいます。
そういう会社は、早めに対処できるため、空気が濁りません。
組織の空気は、「つくれる」もの
空気は自然発生するものではありません。
放っておくと、必ず「冷える」か「よどむ」かのどちらかになります。
そこで必要なのが、空気の設計図=『透明資産』の考え方です。
たとえば、こんな問いから始めます。
・あなたの会社が大切にしたい“らしさ”とは?
・どんな会話や行動が「その空気」を育てるか?
・どんな小さな仕組みで「継続」させるか?
これは、理念やクレドを飾ることではありません。
日々の行動に“にじませる”ための経営戦略です。
「透明資産」を意図的に運用している企業事例
ここで、私が支援した企業の一例をご紹介します。
◎製造業・社員数38名・関東地方
離職率が毎年30%以上という深刻な状況。
- まず取り組んだこと
・社内に“空気センサー”を設置(週1の簡易サーベイ)
・「ありがとうメッセージ」を可視化(掲示板&Slack)
・ 上司が部下に“気づいた貢献”を1日1回伝える運動
- 半年後の成果:
・離職率が9%まで低下
・面談で「この会社で働いていてよかった」と言う社員が急増
・採用面接の辞退率が半分以下に改善
施策の1つひとつは、実に小さなことばかりです。
でも、それらが“空気”を変えていったのです。
社員が辞める前に、空気が先に壊れている
人が会社を辞めるとき、
その理由は“明確に言語化されない違和感”であることがほとんどです。
「なんとなく、居づらくなった」
「気づけば、自分の意見を言わなくなっていた」
これは、空気が壊れた証拠です。
つまり、社員が辞める前に、空気が先に辞めているのです。
経営とは、空気のプロデュース
かつて経営は、「戦略と資源の最適配分」でした。
しかし今はそれだけでは不十分です。
経営とは、空気を設計し、育てるプロデュース業になったのです。
なぜなら、人が辞めない組織とは、
「数字や制度では測れない、でも確かに心地よい場所」だからです。
最後に──あなたの会社の空気は、大丈夫ですか?
朝出社したとき、社員の顔つきは明るいですか?
会議室に「反対意見」が出ていますか?
雑談が生まれていますか?
これらはすべて、空気が語ってくれるサインです。
人は「空気」で動き、「空気」で辞めます。
そして、空気は“つくること”ができるのです。
『透明資産』という見えない資産を、
あなたの経営に取り入れる準備は、できていますか?