「『空気を読む』から『空気を創る』へ──次世代リーダーに求められる資質」
こんにちは、
透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
これからのリーダーは「空気の読解者」ではなく「空気の設計者」
かつて、組織で出世する人に求められたのは──「空気を読む力」でした。
上司の機嫌や雰囲気を察し、言うべきこと・言わないことを見極める。
チームの和を乱さないように、自己主張を控えめにする。
しかし、現代の組織においてこの“空気を読む力”は、
むしろリーダーシップを制限する足かせになりつつあります。
なぜなら、空気は読む時代から、創る時代へと変化したからです。
空気を“読む”ことの限界
「空気を読む」ことは、状況適応力ともいえます。
しかし、それだけでは以下のような問題が生じます。
◎忖度による停滞
→ 誰も本音を言わない空気が醸成され、変革が起きない
◎遠慮の文化
→ 上下関係のなかで自発性が失われていく
◎表面的な調和
→ 表は穏やかでも、裏では不満や誤解が蓄積する
つまり、「空気を読みすぎるリーダー」は、
“現状維持”には貢献できても、未来を切り開くリーダーにはなれないのです。
空気を“創る”リーダーとは何をするのか?
“空気を創る”とは、言い換えれば、
意図的に場を設計し、人の心と行動に影響を与えることです。
それは単なる盛り上げ役やムードメーカーではありません。
以下のような行動が、空気創出リーダーの資質です。
① 目的を語り、空気の“方向性”を与える
→「このチームは何のためにあるのか?」を何度でも共有する
② 発言しやすい“余白”をつくる
→ 全員が声を出しやすい雰囲気・問い・沈黙を演出できる
③ 感情と対話をつなげる
→ 数字だけでなく、チームの“気持ちの温度”にも言葉を乗せる
④ 行動に意味を与える言葉を添える
→ 指示ではなく「なぜそれが大事か」を伝え、共感を育てる
⑤ 不機嫌を持ち込まない自己管理力
→ 自分の空気がチームに影響することを理解し、セルフマネジメントする
空気を創れるリーダーは、“今ここ”だけでなく、
未来の空気も設計できる人材です。
なぜ今、空気を創れるリーダーが必要なのか?
以下の3つの社会変化が、このリーダー像を求める背景にあります。
多様性と分断の時代
価値観・働き方・生き方が多様になる中、
“空気を読む”だけでは共通言語が生まれません。
空気を“設計し直す”力が必要になります。
“心理的安全性”の重要性が高まっている
Googleの研究でも示されたように、
成果の高いチームは心理的安全性が高い。
これは、リーダーによる“空気設計”の
影響が大きいのです。
正解がなく、変化が早い時代
正しい答えがないとき、人は“空気”を見て動きます。
その空気を誰がつくるか?──それがリーダーの役割なのです。
<事例>空気創出リーダーを育てた企業
①福祉法人L(従業員数90名)
若手リーダーの育成がうまくいかず、
「言われたことはできるが、主体的に空気をつくれない」という課題があった。
そこで、「空気リーダー育成プログラム」を導入。
毎週1回、「チームの空気温度」を記録
空気を変えた具体的な行動を“称えるシート”で共有
経営者と若手が一緒に“空気の読み・創り”をテーマに対話
結果、空気に意識的なリーダーが増え、
現場の雰囲気が明るくなり、利用者からの満足度も向上。
②IT企業M社(社員数50名)
新プロジェクトがうまく機能せず、
「立ち上げ時の空気が暗く、萎縮している」という分析から、
プロジェクトリーダーに“空気を創る役割”を正式に委任。
朝会で“空気ウォーミングアップ”を導入(雑談・感謝共有)
チームチャットに“気分スレッド”を設け、気軽な交流を促進
“今週、どんな空気だった?”をふりかえる習慣を導入
結果、リーダーの発言数が増えただけでなく、
メンバーの提案・改善提案も活発化。
空気が動くと、組織が動くことを実感。
空気を創るリーダーは「透明資産」を扱う人材
“空気を創る”という力は、明確に再現できるスキルです。
そしてこれは、まさに『透明資産』の運用能力に他なりません。
透明資産とは、企業文化や組織の雰囲気を「設計・育成・継承」する力。
リーダーがこのスキルを持てば、会社の未来は大きく変わります。
最後に──次世代のリーダーに贈る問い
「あなたは、ご自身のチームにどんな空気を創りたいですか?」
それが語れること。
行動できること。
仲間に伝播させられること。
それが、これからのリーダーに最も求められる資質です。
『空気を読む』では、会社は守れても、変わらない。
『空気を創る』ことで、会社は未来に進める。
次にリーダーになる人にこそ、この“空気創出力”を身に着けてほしい。
―勝田耕司