『透明資産』経営のススメ【透明資産経営のススメ】「空気」を支配する者が市場を制す!?数字だけを追うのをやめた瞬間に利益が上がり始めた理由とは?

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。

透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。

ー経営者であるあなたに、まず問いかけたい。

あなたの会社の会議室に漂うその「空気」は、1円の価値を生んでいるだろうか。それとも、1円ずつ利益を削り取っているだろうか。

多くの経営者は、目に見える損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)の数字には血眼になる。しかし、その数字を叩き出している現場の「空気感」が、どれほど冷え切り、あるいは濁っているかには無頓着なことが多い。私はこれを「経営の重心が浮いている状態」と呼ぶ。重心が浮いたままでは、どんなに鋭い戦略(技)を繰り出しても、相手に力は伝わらない。

実は、組織の「空気」こそが、現代経営における最大の「透明資産」であり、最も投資対効果(ROI)の高い経営資源であるという事実に、感度の高い経営者たちは既に気づき始めている。

ー「空気」の悪化がもたらす、目に見えない莫大な損失

「空気が悪い」という言葉を、単なる感情論で片付けてはいけない。それは極めて数学的、かつ定量的な経営課題である。 例えば、心理的安全性が欠如した組織、つまり「空気が重い」職場では、何が起きるか。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2万人を対象に行った調査によれば、従業員のウェルビーイングやエンゲージメントの低下は、主体的行動(プロアクティブ行動)を著しく阻害することが判明している。

具体的に、米国のギャラップ社の統計を引用すれば、エンゲージメントの低い組織は、高い組織に比べて収益性が21%低く、欠勤率は41%高いというデータがある。これを日本の中小企業に当てはめて考えてみてほしい。売上10億円の企業であれば、空気の悪化だけで年間2億円近い潜在的な収益機会を損失している計算になる。

空気が濁ると、社員は「正解」ではなく「上司の顔色」を探し始める。情報の滞留が起き、現場の小さなミスが隠蔽され、やがてそれは修復不可能な「事故」となってPLを直撃する。これが、数字を追えば追うほど数字が逃げていくメカニズムの正体である。

ー心理的安全性の「定量化」が経営を劇的に変える

では、どうすれば「空気」を経営の武器に変えられるのか。 そのヒントは、エイミー・C・エドモンドソン教授が提唱し、Googleのプロジェクト・アリストテレスによってその有効性が証明された「心理的安全性(Psychological Safety)」にある。

日野自動車などの先進事例でも取り入れられている「話・助・挑・新(話しやすさ、助け合い、挑戦、新奇歓迎)」という4つの因子は、単なるスローガンではない。これらは組織の「体温」を測るための計器である。例えば、会議で発言する人間の偏りを定量化してみるといい。特定の数名しか話していない会議は、心理的安全性が枯渇しており、新しい価値が生まれる確率は限りなくゼロに近い。

私が提唱する「透明資産経営」では、この見えない空気を「仕組み」によって可視化する。 三井物産のように、社員が友人に自社を勧める「リファラル指標」が高い企業や、リクルートのように個人の主体性を徹底的に尊重する文化を持つ企業は、例外なく「何を言っても否定されない」という心理的土台が強固だ。この土台があるからこそ、社員はリスクを恐れずにバットを振り切ることができ、結果として「数字」が後からついてくるのである。

ー「透明資産」こそが、2026年の勝機を決める

2026年、市場はかつてないほど「不確実性」に満ちている。過去の成功体験に基づいた「やり方(Do)」の強制は、もはや通用しない。今、求められているのは「あり方(Be)」、すなわち組織そのものが持つ生命力である。

中外製薬が「チームワークに優れた企業」として評価され、マネーフォワードやラクスが「働きがい」のランキングで常に上位に君臨し続けるのは、彼らが「福利厚生」という名の小手先の施策に走ったからではない。社員一人ひとりが「自分の居場所がある」と確信し、その安心感をエネルギーに変えて顧客に向き合う「空気の設計」に、経営のリソースを割いているからだ。

「空気を変えるのは時間がかかる」と嘆く社長もいるだろう。しかし、考えてみてほしい。 鉄を熱いうちに打つのと同じで、組織の空気も「熱」を加え続ければ必ず変わる。私が推奨するのは、まず社長自らが「透明」になることだ。自身の弱さを見せ、失敗を共有し、現場の声に耳を傾ける。社長が情報の「不透明さ」を取り除くことが、透明資産経営の第一歩となる。

ー数字を追うことだけをやめ、「空気」を耕せ

結論を言おう。 あなたが明日からやるべきことは、エクセルを開いて数字を詰め直すことだけではない。数字という結果を引き起こした現場に赴き、社員たちがどのような表情で、どのような言葉を交わしているか、その「彩度」を確認することだ。

もし、そこに従業員の「挑戦」を笑う空気が1ミリでもあるのなら、あなたは今すぐその芽を摘まなければならない。逆に、三井金属鉱業が「心理的安全性AWARD 2025」を受賞した際に見せたような「みんなで愉しむ」風土があれば、戦略は勝手に走り出す。

数字は「結果」であり、「空気」は「原因」である。 原因を無視して結果だけを操作しようとする経営は、もう終わりにしよう。透明資産という名の「見えない資本」を最大化すること。それこそが、社員の心を揺さぶり、ひいては市場の心を揺さぶる最強の経営戦略なのである。

あなたの会社の「空気」は、今日、誰を幸せにし、どんな未来を創り出そうとしているだろうか。

ー勝田耕司