こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。
「うちの社員は、やる気が、ない」。——経営者が、よく口にする、嘆きです。けれど、この「やる気がない」を、漠然と、「意識が低い」「気合いが足りない」で、片づけていては、何も、変わりません。やる気とは、実は、三つの、具体的な「信念」の、掛け算で、できています。そして——その三つのうち、どれか一つでも、「ゼロ」になっていると、やる気は、どんなに他の二つが高くても、「ゼロ」に、なってしまう。社員のやる気がないとき、問うべきは、「どの信念が、ゼロになっているか」なのです。今日は、やる気を、分解し、設計する、科学について、お話しします。
―やる気=「期待」×「手段性」×「誘意性」
経営学者ヴィクター・ヴルームが、1964年に提唱した「期待理論」は、人のやる気(モチベーション)を、三つの「信念」の、掛け算として、表しました。
第一に、「期待(エクスペクタンシー)」。「努力すれば、成果が、出せる」という信念。「頑張れば、できる」と、思えるか。第二に、「手段性(インストゥルメンタリティ)」。「成果を出せば、ちゃんと、報われる」という信念。「成果を出せば、報酬や、評価が、得られる」と、信じられるか。そして第三に、「誘意性(バレンス)」。「その報酬を、自分は、本当に、欲しい」という信念。得られる報酬に、魅力を、感じるか。——やる気は、この三つを、掛け合わせたもの。「やる気 = 期待 × 手段性 × 誘意性」なのです。
―どれか一つでも「ゼロ」なら、やる気はゼロ
ここが、この理論の、最も重要で、最も実践的な、ポイントです。この三つは、「足し算」では、なく、「掛け算」。つまり——どれか一つでも、「ゼロ」になると、他の二つが、どんなに高くても、全体が、「ゼロ」に、なってしまう。
考えてみてください。どんなに魅力的な報酬(高い誘意性)を、用意しても、「どうせ、自分には、達成できない」と、社員が諦めていれば(期待がゼロ)、やる気は、出ません。どんなに「頑張れば、できる」と思えて(高い期待)、報酬も魅力的でも、「どうせ、頑張っても、正当に、報われない」と、社員が感じていれば(手段性がゼロ)、やる気は、出ません。そして、どんなに「頑張れば、できて」「ちゃんと報われる」と信じていても、その報われる「報酬」に、社員が、まるで魅力を感じていなければ(誘意性がゼロ)、やはり、やる気は、出ない。だから、社員のやる気がないとき、「全体が、低い」と、漠然と捉えるのではなく、「三つのうち、どの一つが、ゼロに、なっているのか」を、特定し、まず、その「ゼロ」を、直すのです。
―あなたの会社の「ゼロ」は、どこにあるか
ここに、透明資産経営の、核心があります。社員のやる気という空気は、この三つの「信念」が、すべて、信じられる空気の上にしか、生まれません。そして、三つのうち、どれが「ゼロ」になりやすいかは、会社の空気で、決まります。
「期待」がゼロになる会社——目標が、高すぎて、どうやっても達成できない。あるいは、能力を上げる、訓練や支援が、ない。「頑張っても、無駄だ」という、諦めの空気。「手段性」がゼロになる会社——これが、最も、見過ごされがちです。頑張って、成果を出しても、正当に評価されない。評価が、不公平で、不透明。社長の、気分や、好き嫌いで、報酬が、決まる。あるいは、約束した報酬が、守られない。「どうせ、頑張っても、報われない」という、不信の空気。そして「誘意性」がゼロになる会社——与えられる報酬(金銭、昇進、名誉など)が、その社員が、本当に欲しいものと、ずれている。
さあ、あなたの会社の、やる気のない社員を、思い浮かべてください。その人の「ゼロ」は、どこに、あるでしょうか。「頑張っても、できない」と、諦めているのか(期待ゼロ)。「頑張っても、報われない」と、不信を抱いているのか(手段性ゼロ)。それとも、与えている報酬に、そもそも、魅力を感じていないのか(誘意性ゼロ)。この、「どの信念が、ゼロか」を、見極めずに、ただ「もっと、やる気を出せ」と、発破をかけても——ゼロは、ゼロのまま。やる気は、戻りません。
―「三つの信念」が信じられる空気を、設計する
だから、やる気を、三つの信念で、設計してください。「期待」を、ゼロにしないために——達成可能で、手応えのある目標を与え、必要な訓練と支援を、提供する。「頑張れば、できる」と、思える空気を。「手段性」を、ゼロにしないために——これが、最も重要です。頑張りと、成果が、公正に、透明に、報われる仕組みを、作り、約束を、必ず守る。「頑張れば、必ず、報われる」という、信頼の空気を。「誘意性」を、ゼロにしないために——社員が、本当に欲しいものは、何かを、知り、それに、報いる。報酬の形は、一人ひとり、違うのですから。
想像してみてください。あなたの会社の社員が、「頑張れば、できる」「頑張れば、必ず、報われる」「その報われるものを、自分は、欲しい」——三つを、すべて、信じられる空気の中で、生き生きと、力を発揮している様子を。それは、彼らが、急に、意識が高くなったからでは、ありません。あなたが、三つの信念が、すべて、ゼロにならない空気を、設計したから、です。やる気がないのは、意識の問題では、ありません。三つの信念の、どれかが、ゼロになっているのです。あなたの会社の「ゼロ」は、どこに、ありますか。
―勝田耕司