『透明資産』経営のススメ【透明資産経営のススメ】あなたの「権威」は、肩書きには宿っていない――部下が“受け入れた”瞬間に、初めて生まれる

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。

「私は、社長だ。だから、私の指示には、従うのが、当然だ」。——多くの経営者が、無意識に、抱いている前提です。権威は、肩書きや、ポジションに、宿っていて、上から下へ、自動的に、下りてくる。だから、部下が従わなければ、それは、「反抗」であり、「指示に従わない、問題社員」だ、と。ところが、ある経営者出身の、偉大な理論家が、この常識を、180度、ひっくり返しました。権威は、あなたの肩書きには、宿っていない。それは、部下が、あなたの指示を「受け入れた」瞬間に、初めて、生まれるのだ、と。今日は、権威という、空気の、本当の源泉について、お話しします。

―権威は、「上から」ではなく、「下から」生まれる

その理論家の名は、チェスター・バーナード。アメリカの大企業の経営者を務めた後、1938年に『経営者の役割』という、不朽の名著を著しました。彼が唱えた、最も革命的な考え。それが、「権威受容説」です。

バーナードは、こう言います。権威は、命令を「出す側(上司)」に、宿っているのでは、ない。権威は、命令を「受ける側(部下)」が、それを「受け入れる」ことによって、初めて、成立する。もし、部下が、その指示を、拒否すれば——どれほど地位の高い人物が出した命令であろうと、その背後にある権威は、蒸発してしまう。つまり、権威は、上から下へ、下りてくるのでは、なく、下から上へ、与えられるもの、なのです。あなたの権威は、あなたが持っているのでは、ない。部下が、あなたに、与えているのです。

―部下が、指示を「受け入れる」4つの条件

では、部下は、どんなときに、指示を、受け入れるのか。バーナードは、それを、曖昧な心の問題として、放置しませんでした。彼は、部下が、ある指示を「権威あるもの」として受け入れるための、4つの条件を、明確に、示したのです。しかも、この4つが、「同時に」満たされなければ、ならない。

第一に、その指示を、「理解できる」こと。何を言われているのか、明確に、分かること。第二に、その指示が、「組織の目的と、一致している」と、本人が感じること。第三に、その指示が、「本人の、個人的な利害に、反しない」と、感じること。そして第四に、本人が、その指示を、「実行できる能力(心身ともに)」が、あること。——この4つの、どれか一つでも、欠ければ、指示は、拒否される可能性が、高い。経営者の、肩書きが、どれほど高くても、です。

これは、衝撃的な、視点の転換です。部下が、あなたの指示に、従わないとき。それは、単なる「反抗」や「問題社員」では、ないかもしれない。あなたが、この4条件の、どれかを——理解できる形で伝えていない、組織の目的との繋がりを示していない、本人の利害に配慮していない、あるいは、実行不可能なことを求めている——満たしていないのかもしれないのです。従わないのは、部下の問題ではなく、あなたが、受容の条件を、設計できていない、という問題かもしれない。

―「無関心圏」は、目的を信じるほど、広がる

バーナードは、もう一つ、重要な概念を、示しました。「無関心圏(ゾーン・オブ・インディファレンス)」です。もし、あらゆる指示を、部下が、いちいち4条件に照らして、吟味していたら、組織は、止まってしまう。実際には、人は、ある範囲内の指示は、「いちいち疑わずに、受け入れる」。その範囲が、「無関心圏」です。

そして——ここが、決定的です。この「無関心圏」の広さは、固定では、ありません。それは、部下が、組織の「共通の目的」を、理解し、信じているほど、「広がる」のです。目的を、心から信じている部下は、多少の指示なら、「この会社の目的のためだ」と、進んで、受け入れる。逆に、目的を信じていない部下の無関心圏は、狭く、些細な指示にも、いちいち、抵抗する。バーナードは、組織を「協働のシステム」と捉え、それが成り立つには、「共通の目的」「貢献しようという意欲」「コミュニケーション」の三つが、不可欠だと、説きました。経営者の、最も重要な役割の一つは、この「共通の目的」を、形づくり、浸透させること、なのです。

ここに、透明資産経営の、核心があります。権威は、肩書きで、振りかざすものでは、ありません。それは、部下が、進んで受け入れる「空気」を、設計することで、初めて、生まれる。命令で従わせようとするほど、無関心圏は狭まり、抵抗が増える。逆に、共通の目的への、理解と信頼の空気を育てるほど、無関心圏は広がり、権威は、自然と、強くなるのです。

さあ、あなた自身を、振り返ってください。あなたは、「社長だから、従って当然」と、肩書きで、権威を、振りかざしていないでしょうか。部下が従わないのを、「反抗」と、決めつけていないでしょうか。あなたの指示は、理解でき、組織の目的に沿い、部下の利害に配慮し、実行可能な形で、出されているでしょうか。そして、あなたは、部下が、心から信じられる「共通の目的」を、浸透させているでしょうか。

―「受け入れられる権威」の空気を、設計する

だから、権威を、肩書きで振りかざすのを、やめ、「受け入れられる権威」の空気を、設計してください。第一に、指示を出すときは、4条件を、意識する。理解できるように伝え、組織の目的との繋がりを示し、本人の利害に配慮し、実行可能にする。第二に、何より、「共通の目的」を、形づくり、繰り返し、浸透させる。目的を信じる心が、無関心圏を広げ、権威の土台を、築くのですから。

想像してみてください。あなたが、肩書きで命じるのをやめ、共通の目的への信頼を、空気として育てたとき——部下が、しぶしぶではなく、進んで、あなたの指示を受け入れ、組織が、しなやかに、動いていく様子を。それは、あなたの肩書きが、立派だからでは、ありません。あなたが、受け入れられる権威の空気を、設計したから、です。権威は、上から、下りてはきません。それは、下から、与えられるもの。あなたは、部下から、権威を、与えられていますか。

―勝田耕司