『透明資産』経営のススメ【透明資産経営のススメ】その「箱」は、棚にもなる――見方を固着させない空気を設計する

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。

―ロウソクを、壁に、どう立てるか

心理学者カール・ドゥンカーが考案した、有名な問題があります。机の上に、ロウソク一本、マッチ、そして「画鋲の入った箱」がある。これだけを使って、ロウソクを壁に取りつけ、ロウが机に垂れないように、火を灯してください——さあ、どうしますか。

多くの人が、悩みます。画鋲でロウソクを壁に留めようとしたり、ロウで貼りつけようとしたり。けれど、正解は、こうです。箱から画鋲を出し、その「空き箱」を、画鋲で壁に留め、箱を「棚」にして、その上にロウソクを立てる。なぜ、これが難しいのか。人は、「画鋲の箱」を見ると、それを「入れ物」としか、見られなくなる。「棚(土台)」として使う、という発想が、湧かない。これが「機能的固着」です。実際、画鋲を「箱の外」に出して提示すると、正解率は、ぐんと上がる。箱が、「入れ物」の役割から、解放されるから、です。今日は、あなたの会社が、目の前の「箱」を、「棚」として見られずに、いる話をします。

―見方を「固着」させているのは、「提示のされ方」と「プレッシャー」である

ここに、透明資産経営の設計原理があります。あなたと社員は、機能的に固着しています。自社の資源、社員、資産、問題を、それぞれの「従来の役割・ラベル」でしか、見られず、目の前にある「別の使い道」に、気づけない。だから、明白な解決策を、見逃す。そして、この固着は、二つのことで、決まります。第一に、「提示のされ方」——画鋲が箱に入っていると固着し、出ていると解放されるように。第二に、「プレッシャー」——この問題に、金銭的な報酬をかけると、固着したグループは、かえって「遅く」なりました(プレッシャーが、思考を狭め、固着を、深めたのです)。

つまり、創造性や、発想の転換の空気は、「もっと柔軟に考えろ」という号令では、生まれません。それは、意図して、設計するもの——問題や資源を、あえて「別の見せ方」で、再提示し、デフォルトの枠を、壊すこと。そして、発想の転換が必要なときには、高いプレッシャーや、報酬を、かけないこと(プレッシャーは、固着を、深めるのですから)。箱を、「棚」として見られる空気を、設計するのです。

さあ、あなたの会社を、見てください。あなたは、ある社員を、「経理の人」としか、見ていないでしょうか(実は、優れた交渉役かもしれないのに)。ある設備を、「これ専用」としか、見ていないでしょうか。ある問題を、「厄介事」としか、見ていないでしょうか(実は、新事業の種かもしれないのに)。あなたは、機能的に、固着している。そして、「なぜ、うちの社員は、柔軟な発想ができないんだ」と、締切と圧力で、追い立てながら、嘆いている——そのプレッシャーこそが、固着を、深めているとも知らずに。

だから、固着を壊す空気を、設計してください。第一に、問題や資源を、「別の見せ方」で、再提示する——「この社員を、経理担当としてでなく、一人の人間として見たら、どんな強みがあるか」「この問題を、脅威としてでなく、機会として見たら、何が見えるか」。箱から、画鋲を、出してみるのです。第二に、発想の転換が必要な場面では、プレッシャーを、あえて、下げる。急かさず、報酬で追い立てず、遊びのある空気の中で、考えさせる。想像してみてください。社員が、目の前の「箱」を、ふと「棚」として見た瞬間——これまで見えなかった解決策が、次々と、姿を現す様子を。あなたが、固着を壊す空気を、設計したから、です。

私たちは、目の前のものを、その「従来の役割」でしか、見られなくなります。そして、その固着は、「提示のされ方」と「プレッシャー」で、深まりも、解けもする。だから、「もっと柔軟に」と念じるのを、やめてください。問題を別の見せ方で再提示し、プレッシャーを下げる——固着を壊す空気を、設計するのです。その「箱」は、入れ物であると同時に、棚でもあるのですから。

―勝田耕司