こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き上げ、商品・サービスの独自性を強化します。そして、持続的成長につながる経営の仕組みです。
―「二週間で終わる」論文が、実際は八週間
心理学者ビューラー、グリフィン、ロスが、1994年に行った研究です。彼らは、卒業論文を書く学生に、「いつ完成すると思うか」を、尋ねました。学生たちの見積もりは、平均で、約34日。ところが、実際に完成したのは、平均、約56日後。しかも、「99%確実に、この日までには終わる」と答えた期日ですら、守れた学生は、わずか3割でした。
これが「計画錯誤」です。私たちは、仕事にかかる時間、コスト、リスクを、系統的に、過小評価する。過去の似た仕事が、もっとかかったと知っていても、です。有名なシドニー・オペラハウスは、1963年完成・700万ドルの予定が、1973年完成・1億200万ドルに。経済学者フリウビヤの、20か国258件の大型事業の分析でも、約9割が、予算超過でした。そして——過去の失敗を思い出させても、この錯誤は、直りませんでした。今日は、あなたの会社の計画が、なぜ「必ず」甘くなるのか、そして、それを設計で防ぐ話を、お伝えします。
―「内の視点」が、楽観を生む
なぜ、これほど甘くなるのか。原因は、「内の視点」です。人は、計画を立てるとき、その計画「固有の事情」——今回は、こう進めれば、スムーズにいくはず——に、意識を集中させ、最良のシナリオを思い描き、過去が、どうだったかを、無視する。一方、「外の視点」は、こう問います。「似た仕事は、過去、実際、どうだったか」。計画錯誤とは、この「内の視点」が、「外の視点」を、圧倒してしまうこと、なのです。そして、恐ろしいことに、この錯誤を「知っている」だけでは、直りません。
ここに、透明資産経営の設計原理があります。あなたと社員は、あらゆる仕事の、期間、コスト、リスクを、系統的に、過小評価します。不注意からでは、なく、強固なバイアスから。だから、現実的な計画の空気は、「もっと現実的に見積もれ」という号令では、生まれません(号令をかけても、内の視点が、また楽観を生むのですから)。それは、「外の視点」を、設計で、組み込むことで、生まれるのです——すべての見積もりを、「似た過去の仕事が、実際どうだったか」という実績に、照らして、検証させる。そして、必ず、バッファ(余裕)を、組み込む。
さあ、あなたの会社の計画を、見てください。新商品の発売、プロジェクトの納期、来期の事業計画。それらは、「今回はうまくいくはず」という、内の視点で、立てられていないでしょうか。あなたは、「念のため」と少し余裕を持たせたつもりでも、その見積もりが、過去、何度、破られてきたかを、思い出してください。あなたは、計画錯誤という、強固なバイアスの上で、舵を切っている。そして、それを「知っている」だけでは、次の計画も、また、甘くなるのです。
だから、「外の視点」を、設計で、組み込んでください。新しい計画を立てるとき、その計画固有の事情を語る前に、問う。「これと似た、過去の仕事は、実際、どれくらいの時間とコストが、かかったか」。その実績を、見積もりの、出発点にする。楽観的な見積もりに、過去の現実という、重しを載せる。そして、その実績を踏まえた、バッファを、必ず、確保する。想像してみてください。あなたの計画が、初めて、現実と、大きくズレなくなった様子を。あなたが、内の視点の楽観に、外の視点の現実を、設計で、ぶつけたから、です。
計画は、必ず、甘くなります。それは、不注意ではなく、人間の、強固なバイアス。だから、「現実的に」と念じるのを、やめてください。似た過去が実際どうだったかという「外の視点」を、見積もりの process に、設計で、組み込むのです。楽観に、現実を、ぶつけるために。
―勝田耕司
