こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
経営者の皆様、自社の「顧客満足度」という数字を盲信してはいないでしょうか。アンケートで「満足」に丸がつく。マニュアル通りに笑顔で応対し、失礼のないように商品を手渡す。しかし、そこに「熱」はあるでしょうか。2026年、市場に溢れる商品やサービスはどれも及第点を超え、スペックの差はほとんど消失しました。そんな時代に、顧客が最後に選ぶ基準は「その会社が放つ空気の温度」に他なりません。
顧客を熱狂させ、一生離れないファン(信者)に変える力。それは、洗練されたマーケティング手法から生まれるのではありません。現場の社員一人ひとりが、「自分はなぜこの仕事をしているのか」という問いに対し、自らの「主観的正義」を持って顧客に向き合っているか。その内側から溢れ出る熱量こそが、透明資産としての最強の武器となるのです。
主観的正義とは、会社から与えられた「正解」ではなく、社員が自らの価値観に照らして「これがお客様にとって最高の価値だ」と信じ切る力です。この熱量が組織の空気を満たしているとき、マニュアルを超えた「奇跡の瞬間」が生まれます。
この「内側の熱量」を経営のレバレッジに変えているのが、クラフトビール業界で独走を続けるヤッホーブルーイングの事例です。彼らは単にビールを製造し、販売しているのではありません。彼らが売っているのは「知的な変わり者」という独自の空気感であり、顧客と共に人生を愉しむという共体験です。
特筆すべきは、社員自身が自社のファンであり、誰よりも製品と文化を愉しんでいるという「透明な空気」です。彼らはファンイベントにおいて、社員が自ら仮装し、顧客と対等な立場で酒を酌み交わし、熱狂の場を創り出します。これは「接客」ではなく、内側の熱量が外側へ溢れ出した「共創」の姿です。社員の中に「このビールで世界を平和にする」という青臭くも真剣な主観的正義があるからこそ、顧客はその空気感に惹きつけられ、他社のビールでは替えのきかない熱狂的なファンになるのです。
また、IoTプラットフォームを提供するソラコムの変革も、BtoBの領域における透明資産の力を示しています。テクノロジーという冷徹な世界にありながら、彼らの根底にあるのは「エンジニアの創造性を解き放つ」という熱いパッションです。社員一人ひとりがテクノロジーの可能性を信じ、顧客の課題解決を「自分事」として愉しむ。この「テクノロジーへの情熱」という透明資産が、顧客に「ソラコムと一緒に未来を創りたい」と思わせる強力なブランド力となっています。
カスタマーサクセス(顧客の成功)とは、仕組みで実現するものではありません。社員が「顧客の成功を喜ぶ自分でありたい」という在り方を持ち、そのための「やり方」を自ら発明し続ける空気から生まれるのです。
これを実現するために、経営者は「社長塾」で、自社の存在意義を物語(ストーリー)として語り続けなければなりません。「売上目標を達成せよ」という言葉は、社員の主観的正義を殺します。「我々の仕事は、誰の、どんな痛みを解決し、どんな笑顔を作るためのものか」という透明な志を、社長自らが情熱を持って語る。その火種が社員の心に燃え移ったとき、初めて組織の空気は「作業」から「使命」へと変わります。
そして「社内学校」では、先輩社員が後輩に対し、テクニック以上に「顧客に感謝された喜び」や「自分の判断で顧客の期待を超えた瞬間」を語り継ぐべきです。マニュアルは「最低限の防波堤」に過ぎません。社内学校の真の目的は、社員が自分の裁量で顧客のために動くことを称賛し、その「成功体験の空気」を共有することにあります。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査が示す通り、仕事に「意味」を見出し、幸福度(ウェルビーイング)が高い社員は、顧客に対する貢献意欲が圧倒的に高い。これは、透明資産が潤沢な組織では、社員が顧客を「おカネを運んでくる対象」ではなく「共に価値を創るパートナー」として見ているからです。この視点の転換こそが、LTV(顧客生涯価値)を最大化させる唯一の道です。
2026年、デジタル化が進めば進むほど、人間特有の「お節介」や「情熱」というアナログな透明資産の価値は高まります。AIは最適な解決策を提示してくれますが、顧客と共に泣き、共に笑い、泥臭く並走することはできません。
社長、あなたの会社の現場に、社員の「主観的正義」が語られる場はあるでしょうか。「そんなことはマニュアルに書いていない」「勝手なことをするな」という空気が、顧客を熱狂させる芽を摘んではいないでしょうか。
社員が自分の意志で顧客のために動き、それを仲間が称賛する。そんな「透明な熱量」が循環する組織を創ってください。社員が会社を、そして自分の仕事を愛しているという空気。それこそが、どんな強力な競合他社も、どんな高度なテクノロジーも奪うことができない、あなたの会社だけの最強の参入障壁なのです。
顧客は「満足」を求めているのではありません。あなたの会社の社員が放つ「熱」に触れ、自分の人生が少しだけ豊かになる予感を求めているのです。その予感を確信に変えるのは、社長であるあなたの、透明で熱い「在り方」の伝承に他なりません。
あなたの現場の空気は、今日、顧客の心を何度熱くしましたか?
ー勝田耕司
