【透明資産経営のススメ】“空気”がブランドになる──『透明資産』で差別化と共感を生み出す経営
「“空気”がブランドになる──『透明資産』で差別化と共感を生み出す経営」
こんにちは、透明資産コンサルタントの勝田耕司です
商品でも、価格でもない“感じの良さ”で選ばれる時代
「なぜ、あの会社を選んだのですか?」
この問いに、こんな答えが返ってくることが増えています。
「雰囲気が良かったから」
「社員の対応が柔らかくて」
「なんか、感じが良かったんです」
──これは、マーケティング的には非常に厄介な答えです。
理由は説明しにくく、他社が真似できる“差”ではない。
しかし、これこそが現代におけるブランド選択の核心になっています。
そしてこの“感じの良さ”の正体こそ、空気=透明資産です。
ブランドとは「空気の記憶」である
一般に、ブランドとはロゴ・ネーミング・キャッチコピーなどの“見えるもの”と定義されがちです。
しかし、実際に企業が「選ばれる理由」の8割は、“非言語的印象”に支えられています。
それは──
店に入った瞬間の空気
電話越しの声のトーン
オフィスの温度や照明、接遇のタイミング
社員の目線や立ち振る舞い
これらすべてが、無意識に「この会社のブランドイメージ」を形成しているのです。
つまり、ブランドとは“空気の記憶”であり、空気の再現力こそがブランド価値の本質なのです。
ブランドは「共感」で選ばれる時代
電通の調査によると、2024年現在、消費者が企業を選ぶ基準は、
共感できる企業姿勢
社会的な意味・ストーリー性
働く人たちの雰囲気・誠実さ
商品やサービスの価格や機能
──となっています。
つまり、価格や機能よりも、“企業の空気感・文化・想い”が
ブランド選択の優先基準になっているということです。
そしてこの“共感”は、情報発信ではなく、空気を通じて感じ取られるのです。
『透明資産』は、ブランドの“土壌”になる
ブランドとは、商品や広告の“見せ方”ではなく、
組織全体からにじみ出る“空気の統一感”から生まれます。
この“にじみ出る力”を構成するのが、以下の透明資産です。
◎【ブランドを支える透明資産の構造】
項目 意味合い
経営者の想い(理念) ブランドの根源。ストーリー・信念・生き様
組織の空気感(文化) 顧客や社員が感じる“居心地の良さ”
社員のふるまい(行動) ブランドがにじみ出る接点(電話、接客、メールなど)
顧客との関係性 期待値ではなく、印象や共感でつながる
言葉の質 キャッチコピーよりも、“社内の語り方”
つまり、ブランディングの根本とは、
空気の一貫性を設計し、すべての接点でにじませること。
その基盤にあるのが、『透明資産』なのです。
企業ブランディングにおける透明資産運用のステップ
『透明資産』をブランディングに活用するには、以下のプロセスが有効です。
【STEP 1】「自社らしさ(空気の質)」の定義
「私たちが大切にしたい“感じ”って何か?」を明確化
例:「誠実」「前向き」「人間味」「安心感」など
※これは理念よりも“肌感覚”に近い定義でOK
【STEP 2】社内に“その空気”を設計する
挨拶、接客、会議、チャット、名刺交換、SNS投稿…
すべての接点で“空気をにじませる設計”を導入
例:
・「こんにちは」ではなく「お変わりありませんか?」
・会議開始前に「最近あった“感じのいいこと”をシェア」
・日報で「今日の空気を一言で表す」欄を追加
【STEP 3】お客様との接点に“空気感”を仕込む
サンキューメールの文面
商品パッケージの余白
店頭POPのメッセージトーン
→ 商品ではなく、“空気を渡している”という発想で設計
【STEP 4】“らしさ”を社員が語れる状態にする
社員が自社ブランドの空気感を“自分の言葉”で語れるようにする
例:「うちはお客様に安心を届けたいから、できる限り説明します」など
→ 社員が“ブランドの空気発信装置”になる
ブランディングで重要なのは「統一された空気の設計」
企業はロゴを統一するよりも、
空気の質を統一する方が難しく、そして価値がある。
A店は明るいけど、B店は無表情
電話対応は丁寧なのに、メールは事務的
採用ページは温かいのに、面接は冷たい
この“空気の不一致”こそが、ブランド価値の毀損につながります。
透明資産による空気設計は、すべての接点で
「この会社らしい」と感じてもらえる“統一感”をつくるのです。
ブランドは“選ばれる理由”ではなく、“選び続けられる理由”にする
今、ブランディングで最も求められているのは、
“差別化”ではなく、“納得感のある一貫性”です。
透明資産を基盤にしたブランドは──
高級でもない
-奇抜でもない
SNSでバズるわけでもない
それでも、“この会社でなければ”と思わせる。
それが、空気で惹きつけるブランド力です。
最後に──空気を、経営の顔にする
ロゴもキャッチも動画も重要です。
しかし、それらを支えるのは、“空気”です。
ブランディングに悩んでいる企業にこそ、
見直してほしいのは「企業の空気の質」。
・お客様が感じた第一印象
・社員が働いているときの表情
・経営者の語る言葉の“熱”と“柔らかさ”
これらが、一貫して「感じがいい」と言われたとき、
それはブランドではなく、経営そのものがブランドになっているのです。
それを可能にするのが、
『透明資産』という目に見えない“空気のマネジメント”です。
あなたの会社のブランドは、空気で伝わっていますか?
―勝田耕司